Wednesday, July 07, 2021 10:13 AM

商務省、輸入車関税に関するトランプ報告書を公表

 商務省は6日、国家安全保障を理由に輸入自動車に関税を課すというトランプ前大統領による発言の根拠となり、極秘扱いだった報告書を公表した。

 トランプ氏は2019年5月、一部の輸入自動車が安全保障上のリスクになっていると表明した。しかしその根拠となった報告書を連邦議会や一般に開示することを拒否したため、開示を求める訴訟が起こされていた。

 ロイター通信によると、トランプ報告書の開示を義務付ける法案を作成したパット・トゥーミー上院議員(共和、ペンシルベニア州)は声明を出し「(報告書を)一見しただけで思っていた通りの内容と分かった。すなわち、関税を正当化する根拠など全くなく、報告書の作成者たちでさえ内容を恥じて公開できなかったのだ」と述べた。

 トランプ氏は脅迫めいた発言をしたものの、輸入車や輸入部品に最大25%の関税を課すことはなかった。自動車各社は、関税が発動されれば数十万人の業界雇用が失われ、車の価格が上昇し、業界が自動運転車の開発に資金をつぎ込めなくなると反発していた。

 116ページの報告書は、フォルクスワーゲン(VW)やトヨタを例に挙げながら、外国資本の大手自動車メーカーによる研究活動や支出は、それぞれの拠点国での事実上の補助金を反映していると指摘。「過去30年にわたる輸入品の著しい浸透は、米自動車業界を深刻なまでに弱体化させた」と記している。さらに、このことは「米軍のリーダーシップと米国の防衛能力を危機に陥れる」とも記している。

 また報告書には、米国資本のメーカーはゼネラル・モーターズ(GM)、フォード、テスラであり、欧州ステランティス傘下のクライスラーは含まれないとも書かれている。