Wednesday, August 04, 2021 10:37 AM

セールスフォース、RPA市場への進出を本格化

 セールスフォース(Salesforce)は8月2日、ドイツ拠点のサービストレイス(Servicetrace)を買収することで、ロボティック業務過程自動化(robotic process automation=RPA)市場への進出を本格化させた。

 RPA市場は過去2年間にもっとも活況した法人向け技術市場の一つだ。SAPやIBM、サービスナウ(ServiceNow)といった大手らがRPA製品をあいついで拡充し、また、企業買収によってRPA事業を拡大させ、さらに、ユーアイパス(UIPath)はIPO(新規株式公開)を果たした。セールスフォースが同分野にいつどのように進出するかは、技術業界の関心事の一つだった。

 テッククランチ誌によると、セールスフォースは、サービストレイスをミュールソフト(Mulesoft)に組み込む計画だ。サンフランシスコ拠点のミュールソフトは、セールスフォースが2018年に65億ドルで買収した新興企業で、API(application programming interface)やサース(SaaS=software-as-a-service)、SOA(service-oriented architecture)の統合プラットフォームを構築し、業務用アプリケーション群を迅速かつ簡単に連携または接続化させる柔軟かつ拡張性に富むソリューション群を法人向けに提供する。

 「ミュールソフトとサービストレイスを合併させることで、ミュールソフトは、API管理とRPAプラットフォームを一元的に統合したプラットフォームを提供できる」「その結果、セールスフォースのカスタマー360(業務処理過程の接続化をどこからでも可能にするプラットフォーム)の機能性を大幅に向上させる」とミュールソフトのブレント・ヘイワードCEOは話した。

 セールスフォースには、各種の業務処理過程を自働化するアインシュタイン(Einstein)という人工知能がある。アインシュタインは、特定の作業を自働化する能力では、より現代的なツールといえる。それに対しRPAは、より伝統的な電算環境での業務執行自動化に向いている。

 そのため、サービストレイスを吸収することは、人工知能基盤の先進的な自動化プラットフォームと伝統的なデジタル・ツール環境の橋渡しを強化できることを意味し、RPA市場におけるセールスフォースの存在感を一気に高めるのに貢献するとみられる。

https://techcrunch.com/2021/08/02/salesforce-steps-into-rpa-buying-servicetrace-and-teaming-it-with-mulesoft/