Thursday, October 14, 2021 10:49 AM

IBM、気候変動リスク管理製品を発表

 IBMは10月12日、顧客会社らの気候変動リスク対応を支援するエンヴァイロメンタル・インテリジェンス・スイート(Environmental Intelligence Suite)を発表した。

 ベンチャービート誌によると、同製品は、人工知能を活用した複数のソフトウェアで構成され、気象データやリスク分析、排出管理といった各種の機能を統合している。IBMはそれによって、異常気象といった災害が事業に与える悪影響と被害の可能性を利用会社らが理解して備えられるようにすると同時に、環境配慮の取り組みを確実に把握して規制要件や消費者の期待を満たせるよう支援する。

 同製品は、IBMがこれまでに開発および蓄積してきた気象データを活用するほか、研究&開発部門のIBMリサーチが開発した技術を応用する。API(application programming interface)やダッシュボード、地図、警告(通知)機能を使い、短期的および長期的に対応すべき課題や戦略を推薦する。

 同プラットフォームの利用会社らは、環境データを分析して気候変動リスクのモデルを構築し、将来の山火事や浸水のリスクに関するデータを生成できる。また、業務体制のどこに炭素排出削減機会があるかを見きわめることもできる。

 「事業の未来と環境は、深いレベルで相互に結びついている。各社は異常気象の影響に備える必要があるだけでなく、株主や規制当局から説明責任を問われるようになっている」と、IBMの人工知能アプリケーション責任者カリーム・ユースフ氏は話した。「IBMは、人工知能とハイブリッド・クラウドの力を活用して環境インテリジェンスをもたらし、事業効率化と災害への備えを支援していく」。

 同社は、エンヴァイロメンタル・インテリジェンス・スイートについて、暴風雨や山火事、洪水、大気汚染を含む異常気象の状況を監視および追跡し、対応策に優先順位をつけ、また、環境関連の取り組みの実績を測定する方法として位置づけている。たとえば、小売会社が悪天候による出荷遅れや在庫変化を予想したり、公益会社が送電網付近の樹木や植物を特定したりするといった用途が想定される。

 環境関連の業務管理を支援するソフトウェアは、ほかの技術大手らも注力している分野だ。マイクロソフトは最近、クラウド・フォー・サステイナビリティー(Cloud for Sustainability)というサービスを発表し、セールスフォースは、炭素排出を管理するためのサステイナビリティー・クラウド(Sustainability Cloud)を市場投入した。グーグルも、法人向けの環境対応ソリューション群をグーグル・クラウドに統合している。

https://venturebeat.com/2021/10/12/ibm-launches-ai-service-to-assist-companies-with-climate-change-analysis/