Wednesday, December 15, 2021 7:56 AM

浮上する生産地の選定問題〜トヨタ

 EVの世界販売を2030年に350万台とする方針は、世界のどこで、350万台のEVを生産するのか、という問題に直結する。今年のEV生産は、1万台に満たないという実情からすれば、ほぼスクラッチから工場を造り、あるいは、ラインを建設していかなければならない。20年台半ばには、世界の各地でEV工場を作り出さなければ、30年に350万台販売は、達成できないことになる。

 問題は、火力発電が主体で、電気代が欧米よりも圧倒的に高い日本が、EVの販売、生産に向いていないことだ。これまでのトヨタの説明では、日本でのEVの販売、生産は50万台止まり。雇用の維持を前提にすれば、ガソリン車やHVなどの日本での生産を250万台ぐらいは、確保していかなければならないことになってしまう。

 米国でのEVの販売、生産は、ノースカロライナ州での120万台分の電池を生産することを考えれば、それに見合った生産量になると見られる。米国での総販売台数が、現在とさほど変わらないとすれば、ガソリン車やHVなどの米国生産を減らしていくことになる。中国や欧州でも、EVの販売、生産に傾斜した体制が取られそうだ。

 保護主義の色彩を強める米国や欧州の動きが、そうした対応を加速させるかもしれない。サプライヤーの生産体制に与える影響も甚大となりそうだ。日本だけが、世界の他の地域と違う生産体制になることへの可否も問われそうだ。状況に竿をさせるのは、日本政府の政策だが、亀の動きを見るのは、少しく辛いものがある。(フロントライン)