Monday, May 16, 2022 11:10 AM

人工知能を使った山火事防止効率化に期待

 カリフォルニア州の大手公益サービス会社らは、山火事の原因となる電力設備の異常を早期検出するために、人工知能技術の開発を進めている。

 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、同州の三大電力会社であるサザン・カリフォルニア・エディソン(Southern California Edison=SCE)とサンディエゴ・ガス&エレクトリック(San Diego Gas & Electric=SDG&E)、そしてパシフィック・ガス&エレクトリック(Pacific Gas & Electric=PG&E)はいずれも、ドローンやほかの手段で撮影した画像を分析して山火事の原因となり得る異常を検出する人工知能のアルゴリズムを有望視している。ただ、十分なデータを収集して大規模に活用できるようになるまでには、まだ何年かかかるとみられる。

 「この技術がかなり普及したと言えるまでには、おそらくあと2年かかるだろう」と、SCEのトッド・インランダー最高情報責任者は話す。同社のアルゴリズムは現時点において、学習済みの具体的な状況に関しては検出できる水準まで進んでいる。

 画像から状況を判断して危険性を検知できる技術を開発する過程には二段階ある。まずは、電柱や変電所といった事業資源の物体を特定できるように学習させる必要がある。そのうえで、腐食や劣化といった状況を特定できるようにならなければならない。

 それらの両方を学習させるには、それぞれに数千枚という画像が必要になる。そのために、まずは「数十万枚、数百万枚という画像をさまざまの状況で集める必要がある」とインランダー氏は話す。

 それら3社が管理している送電網と配電網は膨大だ。SCEの場合は全長11万8000マイル、PG&Eでは10万6881マイルの低電圧配電網と1万8466マイルの高電圧配電網を運用している。

 州政府機関の公益委員会は、あらかじめ策定された計画に従って手作業による設備検査の実行を公益会社に義務づけている。人工知能は、その検査の頻度と徹底度を高めるのに役立つ、と公益会社らは説明している。

 SDG&Eは現在、具体的な状況や事業資産の損傷を検出するために設計した75の機械学習モデルの開発を進めている。それぞれが100枚から5000枚の画像を学習済みだ。同社はアマゾン・ウェブ・サービシズ(AWS)が提供する機械学習や機械視認(コンピューター・ヴィジョン)ツールを使っている。

 PG&Eは、断熱材の破損といった危険要因を検出するための機械視認モデルでいくらかの成功を収めてきたと説明している。各モデルが数千から数万枚の画像で学習している。一方、ひび割れといった小さな異常は、泥や水垢のようなもので見えにくいことがあるため、検出が難しいという。

https://www.wsj.com/articles/californias-ai-powered-wildfire-prevention-efforts-contend-with-data-challenge-11652347803?mod=tech_lead_pos10