Tuesday, July 26, 2022 11:50 AM

エヌビディア、人工知能で携帯電話サービス業界を支援

 エヌビディア(Nvidia)は、携帯電話サービス業界各社による人工知能活用の支援を積極化させている。

 ベンチャービート誌によると、携帯電話サービス提供会社(キャリヤー)らは、膨大な量のデータを収集し、毎秒数百万件という取り引きを処理し、数千万台におよぶ機器を同時に管理していることから、人工知能によって大きな恩恵を受けられるとみられる。

 エヌビディアは、同業界の顧客会社らを対象とした技術をパッケージ化して包括的な製品にすることで、人工知能技術を提供する他社との差別化を打ち出している。また、エヌビディアのオムニヴァース(Omniverse)プラットフォームを使うことで、通信網のデジタル・ツインを構築する能力があるという点も、エヌビディアの差別化点だ。デジタル・ツイン(digital twin)とは、物理的事象をデジタル環境で模擬的に再現することを意味する概念。

 たとえば、エリクソン(Ericsson)は、実際の都市環境にもとづいて5G通信網のデジタル・ツインを構築することで、通信塔の信号到達範囲とパフォーマンスを最適化しようとしている。

 携帯電話サービス業界全体で今後5年間に1500万基の通信塔やマイクロセルが増設される見通しで、通信網の敷設前に仮想的(模擬的)に試験するという点で、デジタル・ツインは高い効果を発揮する可能性がある。

 また、Tモバイル(T-Mobile)は、新型コロナウイルス感染症が大きく拡大した時期に、電話受け付けセンターの問い合わせ対応を効率化するためにエヌビディアと協力し、人工知能基盤のチャットボットを導入して、電話での支払い要望に応対できるようにした。それは最終的に、Tモバイルが顧客に提供するデジタル・ツールに発展した。Tモバイルはさらに、同技術を応用して顧客との通話を自動的にテキスト化して記録に残せるようにした。

 エヌビディアは2021年に、5G向けのアクセラレーター・カードを導入した。同社はそれを「AI-on-5G」と表現している。「企業向けアプリケーションに5Gと人工知能を導入するにあたって、それら二つは非常に異なる」「5Gはミリ秒の低遅延でなければならないが、人工知能はもう少し寛容だ」「そのため当社はAI-on-5Gカードを開発した」「1枚のカードで5つの機能の一部に対応することもできれば、すべてに対応することもできる」と、同社の電話サービス業界向け事業責任者ソマ・ヴェラユーサム氏は述べた。

https://venturebeat.com/2022/07/25/how-nvidia-is-helping-telcos-take-advantage-of-artificial-intelligence/