Tuesday, August 23, 2022 11:50 AM

金融大手ら、ブロックチェーン・プラットフォーム構築を積極化

 米国の金融サービス大手らは現在、ブロックチェーンを活用した取り引きシステムを構築しつつある。

 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、金融大手らはこれまで、暗号通貨への直接的な投資を回避してきたが、証券取り引き事業におけるブロックチェーン技術の活用には取り組んできた。

 業界大手のゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)は、イーサリウムを含むブロックチェーン接続網上で顧客のために債券を売買するほか、独自のブロックチェーン・プラットフォームを構築中だ。かたやJPモルガン・チェイス(JPMorgan Chase)は、独自のプラットフォーム「オニックス(Onyx)」をすでに構築している。

 金融機関らは過去5年以上にわたって、ブロックチェーン関連の開発事業を進めてきた。ただ、これまでのところ、金融取り引きのあり方を大きく変化させたわけではない。

 ゴールドマン・サックスのデジタル資産部門責任者マシュウ・マクダーモット氏は、約70人の部門を率いて、工学だけでなく法務や行政との折衝にあたっている。ブロックチェーンについて初めて聞いたときには懐疑的だったが、いまはそうではない、と話すマクダーモット氏は、「すべてに商業的な理由がある」と述べた。

 ゴールドマンでは、ブロックチェーン事業への投資の詳細を明らかにしていないが、ブロックチェーンを活用した取り引きプラットフォームを自社と顧客で使うだけでなく、他行による利用向けに開放する可能性を示唆した。

 JPモルガンは、オニックスを2020年に導入したのち、他行も使うことができるようにした。ゴールドマンやBNPパリバ、そのほか複数の金融サービス大手らがオニックスをすでに使っている。JPモルガンは、オニックスで処理されたいわゆるリーポ取り引き(repo transactions=repurchase agreements、一定の価格で売り戻しあるいは買い戻しする条件がある売買取り引き。日本語ではレポと言われるが、実際の発音はリーポ)が3500億ドル以上に達したと報告している。

 ゴールドマンは2021年に、欧州投資銀行のために1億ドルの2年債券を手配し、イーサリウムで処理した。その種の取り引きの決済には通常であれば5日かかるところだが、イーサリウム・ブロックチェーンを使うことでわずか1時間で決済できた、とマクダーモット氏は説明した。

https://www.wsj.com/articles/as-crypto-slumps-goldman-sachs-aims-for-a-wall-street-built-on-blockchain-11661169781?mod=tech_lead_pos2