Monday, October 24, 2022 11:50 AM

カテイカムの「ロボット・シェフ」、新薬開発を合理化

 創薬および新薬開発技術新興企業のカテイカム(Katakem)は、開発過程を迅速化するロボティック技術によって創薬業界に革新をもたらしつつある。

 テッククランチ誌によると、有機化学者のマヌエラ・オリヴェリオ氏は、新薬開発に使われる化学分子が開発担当の化学者たちによって異なることから、マウスでの試験結果に一貫性がないことに気づき、自動化技術とロボティクスによって開発過程をより予想可能にできるのではないかと考え、カテイカムを立ち上げた。

 同社は現在、化学反応をより一貫して再現可能にし実験過程を加速させる「ロボット・シェフ(robot chef)」と同氏が呼ぶ装置の開発を進めている。

 オリヴェリオ氏によると、ワンポット(OnePot)と名付けられた現行試作機は、毎秒150回の化学反応過程に関するデータを集め、異なる分子の加熱や冷却、混合といった反復的かつ単調な作業を自動化する。

 新薬開発は、長い時間と大きなコストがかかる事業だ。臨床試験まで進んだ新薬候補のうち、米食品&医薬品局(FDA)から承認される割り合いは12%だ。また、医薬品1種類あたりの平均研究&開発費は、10億ドル未満から20億ドル以上と見積もられ、研究&開発段階で起きる間違いによって発生するコストは最終価格に上乗せされる。

 カテイカムは、機械部品と電気部品の両方をみずから設計し、3年かけてワンポットを開発した。 同社は現在、ワンポットを試験運用する化学者らを募集している。

 同社のおもな競合社には、5000万ドルの資金調達に成功したばかりのオートマタ(Automata)や、化学物質の発見過程を速める人工知能をとロボティック・ツールを開発するカボーティックス(Kebotix)、生命科学の研究&開発にともなう検査過程自動化プラットフォームを開発したアーティフィシャル(Artificial)がある。

 「契約獲得数は増えている」と話すオリヴェリオ氏によると、カテイカムの業績は、既存の契約だけでも2022年末までに35万ドルを売り上げ、2023年末までには300万ドルに激増する見通しだ。

https://techcrunch.com/2022/10/20/katakems-robot-chef-speeds-up-drug-development-with-reliable-chemistry/