Friday, October 28, 2022 6:51 AM

トヨタ、EV戦略の大幅見直しへ〜つなぎに、「bZ4X」25年以降増産検討

 トヨタが、EV戦略の第1弾として発売したSUV「bZ4X」について、25年以降の大幅増産を検討していることが分かった。トヨタはEV戦略の見直しに入っており、後続車両の開発・投入が遅れる可能性があることから、既に発売したbZ4Xの販売を増やしていく。ロイターが報じた。

 事情に詳しい関係者3人が明らかにした。bZ4XはSUBARUとの共同開発車で、元町工場(愛知県豊田市)が月1000台規模で生産を手掛けている。高岡工場で月8000台程度、部材調達次第ではその倍の1万6000台に増やすことも視野に検討している。

 増産の開始時期は電池や半導体などを確保するのに時間がかかるため、25年以降になる。bZ4Xは現在、中国市場向けは現地で生産しており、元町工場では日本、欧州、北米、アジア向けを生産している。トヨタはロイターの取材に対し、生産計画についてはコメントできないとした。

 トヨタは昨年、ガソリン車やハイブリッド車と同じラインで生産できるよう設計したEV用プラットフォーム(車台)「e-TNGA」を発表。EVへの移行にはしばらく時間がかかると予測したためだ。

 その後、EV市場が予想以上の速度で拡大し、テスラが革新的な生産技術を導入するなどして黒字化を達成していることから、よりコスト競争力のある車両を開発するため、急遽、基本設計から変更を含めた大幅な戦略修正の検討に入ったと見られる。

 開発戦力を集中させるため、一部車種は開発を中断した。停止した車両の開発計画には小型SUV「コンパクトクルーザー」やクラウンのEV版などが含まれている。

 トヨタが24日に中国で発表した小型EVセダン「bZ3」は現地で生産した中国市場専用車で、現時点では中国以外の展開は計画していない。

 関係者は「戦略を見直している間はEVの弾込めができなくなってしまう。bZ4Xでつなぎたいと考えている」と話す。