Thursday, December 01, 2022 11:28 AM

アマゾン、AWSサプライ・チェーンを市場投入

 アマゾン(Amazon)は11月30日、同社のウェブ・サービス事業に供給網管理サービスを追加したことを発表した。世界中の会社らが工場から消費者への商品の流れをより厳密かつ効率的に管理しようとするなか、同社は、競争が激化する供給網管理ソリューション市場に参戦した。

 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、アマゾンが発表したクラウド・アプリケーション「AWSサプライ・チェーン(AWS Supply Chain)」は、ますます複雑化する貨物の流れや在庫管理の調整、需要予想を支援するマンハッタン・アソシエイツ(Manhattan Associates)やブルー・ヨンダー(Blue Yonder)をはじめとする供給網管理ソリューション大手らの先行組に挑戦することになる。

 マイクロソフト(Microsoft)も、独自の供給網管理ソフトウェア・プラットフォームを11月初めに発表しており、同市場は競争がますます激化している。

 AWSサプライ・チェーンは、膨大な量のデータを機械学習によって分析し、配送や配達、在庫調整、リスク要因に関する助言のほか、アルゴリズムによる需要予想を提示する。

 オハイオ州立大学フィッシャー・ビジネス・カレッジのテリー・エスパー准教授(物流専門)は、「一連の供給網ショックによって、よく整備された供給網運用機能および体制を持つことの重要性がより強く認識されるようになった」と話す。

 多くの会社らは、新型コロナウイルス・パンデミック中にアジアの工場閉鎖や米国の港湾渋滞といった混乱に見舞われ、輸入品の納期が数ヵ月遅れ、2021年の年末商戦に向けて準備すべき時期に商品不足の状態におちいり、販売機会喪失を強いられた。そのため、小売と流通業界ではこの1年間、物流の効率化と可視化に特に注力している。

 また、小売店に大量に商品を送るのではなく、在庫のより良い均衡と配分を必要とする消費者直販のオンライン販売に移行する動きも強まっていることから、小売会社らは、高度の供給網管理ソフトウェアへの依存度を高めている。直販モデルは、より緻密な在庫調整を必要とする一方、供給網過程を一つか二つ省略できる。

 アマゾンは、第三者オンラインいちばに登録している中小小売会社らを中心に、AWSサプライ・チェーンの利用者を獲得している。同社はそれらの小売業者らに対し、AWSサプライ・チェーンを採用することで、供給網の可視性を高め、機械学習を利用して在庫の管理や需要予想の精度を高めることができる、と説明している。

 AWSサプライ・チェーンは、リスクを特定し、欠品や遅延を防ぐための推奨事項を提示する。そのため、利用会社らは「供給網の混乱の可能性をすばやく察知して対応することができる」と、AWSサプライ・チェーン担当副社長ディエゴ・パントジャ=ナバハス氏は述べた。

https://www.wsj.com/articles/amazon-launches-supply-chain-software-service-11669756856