Monday, June 12, 2023 11:51 AM

セールスフォース、人工知能新興企業投資基金を5億ドルに倍増

 セールスフォース(Salesforce)は6月12日、生成人工知能新興企業向けのベンチャー・キャピタル(VC)投資基金を5億ドルに倍増し、同社の人工知能搭載製品群を包括的に提供できるようにするために、同分野の技術開発新興企業と顧客企業を引きつける計画を発表した。

 ロイター通信によると、セールスフォースのAIクラウドには、販促業務用データ分析プラットフォーム「アインシュタイン(Einstein)」から職場用メッセージング・アプリケーション「スラック(Slack)」、データ分析ソフトウェア「タブロー(Tableau)」まで、セールスフォースの人工知能製品群が同梱される予定だ。

 セールスフォースは今回のVC基金拡大によって、新興企業向けの初期投資額を1社あたり年間36万ドルに引き上げる。

 同社の今回の動きは、過去のデータからの入力にもとづいて新しいテキストや画像、そのほかのコンテントを作成する生成人工知能を自社のツール群に組み込もうとする法人向けソフトウェア会社らの人工知能技術競争の激化を明示するものだ。

 セールスフォースのマーク・ベニオフCEOは、「われわれの世界を再形成する革新力が人工知能にはある」「人工知能は現在、想像もしなかった方法でビジネスを変革している」「すべての会社が人工知能優先になる必要がある」と述べた。

 同社のAIクラウドは、同社の製品群とともに、アマゾン・ウェブ・サービシズ(Amazon Web Services=AWS)やアンスローピック(Anthropic)、コウヒヤー(Cohere)といったクラウド生成人工知能ツール・プロバイダーらの人工知能システムの中核ソフトウェアである大規模言語モデル群(large language models=LLMs)をホストする予定だ。

 セールスフォースは、LLMsが機密性の高い顧客情報を保持しないよう対応することで、第三者クラウド・サービスを利用する各社のデータ・プライバシーを確保すると説明した。

 同社は、アインシュタインにGPT(Generative Pre-trained Transformer)を組み込んだ新サービスを3月に提供開始した。さらに、チャットGPTの開発元であるオープンAI(OpenAI)と協力して、協業ソフトウェアのスラックに生成人工知能チャットボット機能を追加する、とセールスフォースは述べた。

https://www.reuters.com/technology/salesforce-unveils-ai-cloud-offering-doubles-fund-ai-startups-500-mln-2023-06-12/