Friday, January 24, 2025 6:36 AM

DHL、成長する返品ビジネスに参入

 物流サービス大手DHLサプライチェーンは、ノースカロライナ州拠点の小売サービス会社インマー・インテリジェンスの返品サービス部門インマー・サプライチェーン・ソリューションズ(Inmar Supply Chain Solutions)を買収した。小売市場の重要な一角を占める返品商品管理ビジネスへの進出を拡大する。

 ウォールストリート・ジャーナルによると、新型コロナウイルスのパンデミック期間中、オンラインの商品発注が急増したことで小売業者が返品に関する方針を寛大な内容に変更。その結果、最近は消費者がより多くの商品を返品するようになっている。

 全米小売業協会(NRF)と返品サービス会社ハッピー・リターンズによると、2024年の消費者の商品返品率は推定16.9%、その額は8900億ドルに上り、19年の返品率の2倍を超えた。

 返品の急増は多くの小売業者にとって頭痛の種となっている。コストが利益を食いつぶし、量が増えることで予想外の商品の山に対処しなければならなくなり、その多くは状態が悪く再販できない。

 市場調査ガートナーの小売アナリスト、トム・エンライト氏は、商品を最初に販売した費用と返品処理費用を合わせると、企業は返品で利益率の約50%を失うと指摘する。

 小売業者は一般的に、寛大な返品方針が消費者を引き付け、売り上げ増加につながると信じて返品にかかるコストを吸収してきた。しかし、最近は返品の量が「誰もが注目し始めるほど」に増加している(エンライト氏)。

 一部の小売業者は返品方針の引き締めで対応し、ほかの業者は処理プロセスの管理を強化。場合によっては返品処理を専門とする外部業者に頼っている。配送大手ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)は23年、そうした業者の一つであるハッピー・リターンズを4億6500万ドルで買収した。

 物流大手ドイツポストDHLグループ傘下のDHLサプライチェーンは、インマーの買収によって米国内の返品処理専用の倉庫14カ所を物流ネットワークに追加する。