Thursday, October 23, 2025 7:00 AM
ナイロンとステランティス、次世代モーター開発で提携
レアアース(希土類)を使わないEV向けモーター用磁石を開発するナイロン・マグネティクス(Niron Magnetics、ミネソタ州)は、次世代モーターのデザイン開発でステランティスと協力する。
ビジネスワイヤーによると、ナイロンの革新的な窒化鉄磁石技術は、従来のレアアース磁石に代わる有望な選択肢で、外国に依存するサプライチェーン(供給網)からの脱却を促進すると期待されている。
この協業は、ステランティス・ベンチャーズが2023年に行ったナイロンへ戦略投資が基盤となっており、米国のエネルギー自立と重要資源確保を強化する国家戦略の一つとしてエネルギー省の先端材料・製造技術局(AMMTO)による270万ドルの支援も受けている。
永久磁石は、音響装置、パワーステアリング、流体ポンプ、パワートレインなど車に搭載される多くのシステムで不可欠な役割を果たし、ガソリン車、ハイブリッド車(HV)、EVなどあらゆるパワートレインの重要な構成要素となっている。従来の永久磁石は、中国を主な供給源とするレアアースに大きく依存しているが、ナイロンの窒化鉄磁石は、豊富に存在する鉄と大気中の窒素を原料としており、米国および世界中で容易に調達できる。
今回の共同プロジェクトは、窒化鉄磁石の特性を生かし、あらゆる車両タイプのモーター構造を改良して性能と効率を高めることを目的とし、駆動モーター、車載オーディオその他の磁石駆動システムにおけるステランティスとの既存の協業をさらに発展させる。
共同プロジェクトの発表は、ミネソタ州サーテルで16日に行われたナイロン初の商業規模製造施設の起工式に合わせて行われた。この施設が完全稼働すれば、年間1500トンの磁石を生産し、175人の常勤雇用を生み出す北米最大級の磁石生産拠点になる。さらに両社は、オークリッジ国立研究所やイリノイ工科大学などの研究機関とも協力し、先進モーターシステムの分析および試験における専門知識を活用していく。