Wednesday, October 22, 2025 7:15 AM
欧州の自動車工場稼働率は平均55%、8工場閉鎖の恐れ
欧州の自動車メーカーは最大で8つの工場閉鎖に追い込まれる可能性があると、ブルームバーグが報じた。
ドイツのコンサルティング会社、アリックスパートナーズによると、自動車需要の低迷と比亜迪(BYD)などの出現が欧州自動車メーカーに苦渋の決断を強いることになるかもしれない。欧州の自動車工場は稼働率が75%を下回ると赤字になり収益を圧迫するが、現状は平均で55%にとどまっている。特に厳しいのはステランティスで、稼働率は約45%に過ぎない。
アリックスのマネジングディレクター、ファビアン・ピョンテク氏は「欧州の自動車メーカーは向こう数年で中国車に販売を100万台から200万台奪われる」と指摘。「中国メーカーの欧州における市場シェアは今年中に約5%に達する」との見方も示した。
工場の閉鎖は膨大なコストのほか、強力な労働組合との長い交渉を伴う。アリックスの試算によれば、従業員1万人規模の大規模工場を閉鎖する場合、手続きに1年から3年を要し、約15億ユーロ(約2650億円)の費用がかかる。
欧州各社は人員と生産を削減している。VWは今月、1週間にわたってドイツ・ツウィッカウ工場を閉鎖し、ステランティスはフィアット「パンダ」やアルファロ メオ「トナーレ」を生産する複数工場の稼働を一時的に停止した。
欧州自動車工業会(ACEA)によると、欧州における昨年の納車台数は前年比0.9%増の約1300万台にとどまった。BYDや上海汽車集団(SAIC)など中国ブランドは30年までに10%の市場シェアを取り、欧州メーカーには生産削減の圧力が強まるというのが、アリックスの見立てだ。自動車工場は年25万台以上生産すれば利益が出るよう設計されている。中国メーカーの欧州販売台数が年200万台前後に上れば、欧州でおよそ8つの工場が余剰になる計算だ。