Wednesday, March 08, 2017 10:26 AM

H-1Bビザの優先発給、4月3日から停止

 移民局(USCIS)はこのほど、特殊技能者向けビザ「H-1B」の優先発給制度を4月3日から6カ月間停止すると発表した。外国人技術者に依存する国内のIT大手やインドの関連企業に大きな影響を与える可能性がある。

 クリスチャン・サイエンス・モニターによると、停止期間中も緊急事態や人道的理由などで特例措置が認められる。

 H-1Bは、専門技能を持った人材を国内で見つけられない企業が外国人で補う場合に使われるのが本来の目的で、多くの業界で利用されているが、実際は受給者の大半がテクノロジー業界で働いている。移民局が2015年に議会に提出した報告書によると、前年に承認された申請の65%がコンピュータ関連の職種だった。フェイスブックはH-1Bに依存する企業と言われ、社員の15%以上が制度を利用している。

 H-1Bビザの優先発給制度は01年に導入され、1225ドルの追加手数料を払うことで通常は2〜3カ月かかる審査が15日以内に短縮される。現在はインドのIT企業の多くが、何万人もの専門職を米企業に派遣するためにこの制度を使っている。

 一時停止は3月3日に発表されたが、その数時間前にはインドのジャイシャンカール外務次官やテオティア商務次官がトランプ政権の幹部と会談し、「H-1Bは移民問題ではなく通商やサービス問題として扱うべき」と訴えていた。

 多くの専門家も「米国が競争力を維持するには有能な専門職の確保に国際的な手法を取る必要がある」と考えている。コーネル大学のスティーブン・イェールロアー教授(移民法)は「グローバル経済では、最高の人材は最高の場所で働きたいと考え、もし米国で働けなかったり手続きに時間がかかったり難しすぎたりすれば、カナダや欧州、インドなどほかに自分の才能を評価してくれる場所に行くだろう」と指摘する。