Wednesday, July 20, 2016 10:23 AM

海運不況、ようやく底打ちか〜運賃は6年前の3分の1に

 海上コンテナ輸送料金が過去最低に落ち込んでおり、長引く海運不況もようやく底を打ったのではないかと見られている。

 ウォールストリート・ジャーナルによると、英国の海事コンサルティング会社ドリューリーの報告書では、現在40フィートのコンテナをアジアから米西海岸へ輸送する際の運賃は過去最低の800ドルで、2010年の3分の1以下となっており、これ以上下がる可能性は低いと見られている。

 まだ需要は少なく、輸送能力も高すぎるが、価格が下がりすぎて船会社はコストを賄えず、輸送能力を減らすか、弱体企業は市場撤退するしかなくなってきたため、市場は徐々に均衡を取り戻していくと見られる。

 ドリューリーのアナリストは「船会社がシェアの拡大や維持を図った結果、ほぼ全路線で運賃が下がった。このまま行けば最終的には破綻するため、論理的に見てこの状態は長くは続かない。シェア戦争が劇的な値下げにつながったことは分かっており、継続はできない」と説明する。

 大型チャーター船のスペースを分け合うために提携する海運アライアンスの一部はすでに、アジアから北欧、アジアから南米東海岸など一部のルートの輸送能力を減らし始め、これによって少し高い料金を請求できるようになっている。

 マースク・ラインやCMA CGMといった大手上場企業は、多くが最新四半期に損失を計上しており、コストが売り上げを上回っていることを示している。まだコスト割れ状態でサービスを強いられているところもあるが、一般的にこれは景気下降の最終段階で見られる状況だという。

 ただし回復には時間がかかる見通しで、ドリューリーの予想では、世界の貨物料金は17年に約8%上昇する見通しだが、15〜16年の落ち込みに比べるとわずかな増加にすぎず、今年の需要の伸びも2%以下にとどまるもようだ。