Friday, June 17, 2016 10:36 AM
ゴキブリ型ロボットで被災者救助を目指す〜UCバークリー校、実証実験へ
災害時にがれきに埋もれた被災者たちを発見することは、一刻を争うと同時に難しい。被災者の意識がない場合には本人が助けを求めることもできないし、救助隊ががれきのなかに入り込むこともかなり困難だ。
そういった課題を解消するために、虫のような小型または極小ロボットは以前から研究されている。
PCワールドによると、カリフォルニ(UC)大学バークリー校の研究班は、「ミニローチ(Miniroach)」「ヴェロシローチ(Velociroach)」「X2ヴェロシローチ」という6足歩行のゴキブリ型ロボットを開発し、関心を集めている。
ミニローチ(小さなゴキブリという意味)は25セント硬貨ほどの体長で、1秒間に約3センチメートル移動する。一方、体長約10センチメートルのヴェロシローチは秒速3メートル、X2ヴェロシローチは秒速5メートルで移動できる。ヴェロシローチには、飛躍することもできる「H2バード」という機種もある。
いずれも体形はゴキブリだ。複雑に入り組んだがれきのすき間をぬって移動するのにゴキブリの形状がもっとも適しているためだ。
研究班が開発した一連のゴキブリ型ロボットは使い捨てという特徴もある。被災者捜索中に故障した場合にはそのまま放置できるため、捜索活動に専念できる。
それらのゴキブリ型ロボットには、データを長距離転送できる検知器が搭載されている。被災者を発見した場合には、その場所の深さや温度といった状況を検知器によって測定し、救助隊のタブレットにそのデータを転送する。
同校による今回の開発は、全米科学財団(National Science Foundation=NSF)の全米ロボティクス構想(National Robotics Initiative)からの資金提供によって実現した。同構想では、災害時に要救助者を発見して救助するのに役立つロボットの開発支援政策のもと、開発費をいくつかの大学や研究機関に拠出している。
同校の研究者らは今後、カリフォルニア州の捜索および救助隊(タスクフォース3アーバン・サーチ・アンド・レスキュー)の協力を得て、ゴキブリ型ロボットの実証実験を実施する。
NSFによると、それらのロボットは油田で硫化水素を検知するのにも応用できると期待される。