Tuesday, May 08, 2018 10:39 AM

貴金属業界とIBMが連携〜宝石流通にブロックチェーン

 貴金属業界はコンピューター大手のIBMと提携し、ブロックチェーン(分散型台帳)技術を使って金やダイヤモンドなどの宝飾品が倫理的な生産・加工方法で供給されたことを確認できる仕組みを作る。

 ロイター通信によると、「トラストチェーン(TrustChain)」と命名されたこの取り組みは、貴金属が供給網のさまざまな段階を経て完成品になる過程を消費者が簡単に確認できるようにするのが目的。まずはダイヤモンドと金を使った6スタイルの婚約指輪を対象に、2018年内にシステムを構築する予定。最近、1個のダイヤモンドの指輪の出所を追跡する実験を行なったという。

 貴金属業界でこの取り組みに参加しているのは、バークシャー・ハサウェイ傘下の宝飾品会社リッチライン・グループのほか、貴金属精錬会社アサヒ・リファイニング、宝飾品小売りのヘルツバーグ・ダイヤモンド、貴金属材料販売リーチガーナー、認証サービス会社UL。ブロックチェーンを使えば、改ざんできない記録を複数の関係者が共同で作成し更新することが簡単なため、宝飾品の材料の原産地や供給のされ方を確実かつ効率的に追跡するのに適していると考えられる。

 リッチラインは以前、別の技術を使って同様のデータベース作成を試みたが、手作業の部分が多く正確さを欠く恐れがあったという。マーク・ハナ最高マーケティング責任者は「ずっとやりたかったがふさわしい仕組みがなかった。そこにブロックチェーンが登場した」と説明する。

 貴金属業界ではほかにも、英鉱業大手アングロ・アメリカンのダイヤモンド部門デビアスが1月、ダイヤが掘り出された後、持ち主が変わるたびに追跡できるブロックチェーンを使ったシステムの構築計画を発表している。

 IBMは食品小売り大手とも、供給チェーンの追跡や安全性の改善でブロックチェーン・プラットフォームの開発に取り組んでいる。