Wednesday, May 23, 2018 10:21 AM

3Dプリントで自転車の炭素繊維フレーム製作

 シリコンバレーの新興企業アレヴォ(Arevo)は、世界で初めて炭素繊維フレームを3D(立体)印刷で作った自転車を開発した。

 ロイター通信によると、この自転車は同社のデザイン・ソフトウェアや3D印刷技術を宣伝する目的で作られた。アレヴォは、強度と軽さが売り物だが生産にコストと手間がかかる炭素繊維を、自転車、航空機、宇宙船などの部品に広く応用するため3D印刷技術を役立てたいと考えている。

 アレヴォはこれまでにコスラ・ベンチャーズから7000万ドルの資金を調達しており、最近は旭硝子、住友商事、レスリー・ベンチャーズなどで構成する投資集団から1250万ドルの資金を調達した。また、中央情報局(CIA)のベンチャー・キャピタル部門In-Q-Telからも投資を受けている。

 自転車炭素繊維フレームの製造は、型の周りに樹脂を混ぜた炭素繊維を何層も重ねる手作業が一般的で、非常に高価だった。形を作った後にも、オーブンで焼いて樹脂を溶かし炭素繊維シートを結合させる工程もある。

 これに対してアレヴォの技術は、ロボット・アームに取り付けた「ディポジション・ヘッド」を使ってフレームの形に3Dプリントする。ヘッドは、炭素繊維を並べて熱可塑性材料を溶かし込み、結合させるという作業を同時に行う。人手がほとんどかからないため、あらゆるものが高価なシリコンバレーでも300ドルで自転車フレームを作れるという。

 アレヴォのジム・ミラー代表は「アジアでフレームを作るのにかかるコストと同じ。人件費が非常に少ないため、複合材の製造を国内に戻すことができる」と話す。

 同社は現在、自転車メーカー数社と契約交渉中で、最終的には航空宇宙産業への部品供給を目指す。