Tuesday, June 12, 2018 10:40 AM
ロボトラクターで農業革命〜業界大手が開発に注力
農機業界は、農業の生産性や持続可能性を低コストで高める方法の1つとして、ロボットトラクター(自動運転農機)の開発に力を入れている。
ウォールストリート・ジャーナルによると、小型トラクターを米国に多く輸出するインドのマヒンドラ&マヒンドラ(Mahindra & Mahindra)は、農業の将来を担う分野としてロボトラクターなどの次世代農機開発に取り組んでおり、農場の端まで行くと折り返して新しい場所を耕す無人トラクターなどをテストしている。
米大手ジョン・ディア(John Deere、イリノイ州)も、搭乗者が運転から開放され、作物の監視や農薬、水、土の調整などに集中できる自動運転のトラクターやコンバインを販売している。また米アグコ傘下の独フェント(Fendt)は、人が運転するトラクターの後に数台の無人トラクターを追走させる技術を開発した。クボタやヤンマーの日本勢も無人トラクターの投入を計画中で、高齢の農家に歓迎されると予想している。
次世代のトラクターは完全に自動運転が可能になり、その後は植え付け、肥料や農薬の散布も自動でできるようになると見込まれ、ロンドン拠点の多国籍企業CNHインダストリアルは、運転室がなく植え付けや収穫を人が遠隔監視するトラクターを試験中だ。
ただ、こうした技術の実現にはまだ多くの課題もある。障害物を避けて進み、土壌の違いや地面の起伏などを読み取るための衛星利用測位システム(GPS)やセンサーは改善される必要があり、ロボット導入によって生活が脅かされる人々からの反発も予想される。インドの場合、有権者の大部分が農業労働者であるため、マヒンドラのアラビンド・バラドワジ農機担当最高技術責任者(CTO)は「農民の移動は段階的な手順を踏まなければならない」と話す。
それでも業界の改革には大きな商機があり、ゴールドマン・サックスは無人トラクターなど先進農機の潜在需要を向こう5年間で450億ドルと推定している。
ディアのGPS付きトラクターは、植え付ける場所や2回散布する場所の指定などが可能で、同社は最終的にビッグデータや人工知能(AI)を使い、各作物に合わせて肥料、農薬、水の量を調整できるモデルの開発を目指している。ジョン・ストーン副社長(開発担当)は「コンピューターとデータ科学、レーザーのような装置で農作業をもっと自動化できれば、農家は多くのコストを節約でき、より持続可能な生産が可能になる」と見ている。