Monday, August 06, 2018 10:27 AM

ネスレ、供給網管理にブロックチェーンを導入

 食品大手のネスレ(Nestle)は、離乳食ブランド「ガーバー(Gerber)」の一部製品を対象に、原材料の果物や野菜をブロックチェーン基盤システムで追跡する試験を進めている。

 製品リコールの対策として、原材料の世界供給網管理にブロックチェーンを利用する動きが食品業界で進んでおり、ネスレの試験はそれを象徴している。

 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、ネスレは現在、「フード・トラスト(Food Trust)」と呼ばれるブロックチェーン・システムの開発において、競合するユニリーバ(Unilever)をはじめ、ウォルマート(Walmart)やIBMを含む9社と協力している。一つの記録管理システムを競合社や提携先と共有することで、たとえば細菌汚染といった問題が生じた食品の調査を迅速化させ、リコールをより正確かつ低コストで実施できるようにすることが狙いだ。

 フード・トラストは、IBMのブロックチェーン技術を基盤に構築された。食品の原材料収穫や加工、梱包、そして出荷に関するデータをフード・トラスト上で保管することで、従来なら日単位または週単位の時間がかかっていた追跡を秒単位で実行できるようにする。

 フード・トラストの加盟社らは過去1年にわたって、加工食品供給網の一部で試験を続けてきた。ウォルマートの場合、マンゴーの供給網で試験し、農家から食料品店の棚に並ぶまでの一連の動きを把握することを目指している。

 ネスレの離乳食製品の試験では、リンゴやかぼちゃを含む複数の原材料ごとに、米国内外の農家や加工業者との取り引きをフード・トラストで管理する。

 IBMは、その基盤となるブロックチェーン技術とそのほかのツール群をフード・トラスト加盟社らに提供する。

 供給網に関与する農家やそのほかの関係業者らは、専用のモバイル・アプリケーションを使ってフード・トラスト・システムにデータを入力する。

 IBMによると、モバイル・アプリケーションは現在、試作品段階にあり、9月に市場投入される見通しだ。

 フード・トラスト加盟企業らは、自社の商品データや基盤施設とフード・トラスト・システムをつなぐインターフェイスと関連技術をそれぞれ開発中だ。

https://blogs.wsj.com/cio/2018/08/01/farm-to-cradle-nestle-experiments-with-tracking-gerber-baby-food-on-the-blockchain/?guid=BL-CIOB-14250&dsk=y