Tuesday, August 14, 2018 10:10 AM

BHP、EV革命にらみコバルト生産拡大へ

 英・オーストラリア系の鉱業最大手BHPビリトンは、「電気自動車(EV)革命」での存在感を高めるため、充電式リチウムイオン電池に使われるコバルトの生産を拡大する。

 ブルームバーグ通信によると、2019年末までに生産量の90%を電池業界に販売することを目指しているオーストラリア西部のニッケル・ウェスト部門はこれまでに、専門のニッケルと並行してコバルト硫酸塩の生産を拡大する試験に成功した。同部門のエドゥアルド・ヘーゲル資産担当社長は「今の懸念はコバルト硫酸塩を生産できるかどうかではなく、望む純度にできるかどうか」と話しており、小型の加工場を使った実験を進める方針だ。

 自動車や消費者向け電子機器の電池に使われるコバルト硫酸塩は、価格が高騰しており、EV需要の上昇に伴い20年代初頭には供給難に陥る恐れがある。BHPはすでに硫酸ニッケルの生産を拡大する計画を進めており、年間生産量を20万トンに増やすことを検討中で、実現すればニッケル・ウェストは世界最大手となる。

 ヘーゲル氏によると、この背景にはEV業界でニッケルを多く含む大型電池の重視傾向が強まっている状況がある。

 ニッケル・ウェスト部門はまた、コバルトとニッケル素材を組み合わせ、電池の材料流通網における高価な中間商品である正極前駆体(正極材の材料)の開発も検討している。

 BHPは、化学メーカーとパナソニックのような電池メーカーの両方に材料を供給しており、顧客にはできるだけ幅広い商品選択肢を提供したいと考えている。過去にはニッケル・ウェストの売却計画を発表したが、シティグループのアナリストは18年6月、「バッテリー素材分野に対する影響力を維持するためにBHPは姿勢を軟化させている可能性がある」と指摘した。ヘーゲル氏によると、今のところ同部門の売却手続きは進んでいない。