Friday, November 02, 2018 9:37 AM

IBMのブロックチェーン供給網ソリューション、すでに苦戦

 海運大手マースク(Maersk)とIBMは、共同開発したブロックチェーン基盤貿易システム(プラットフォーム)「トレードレンズ(TradeLens)」にもとづく供給網生態系の構築を図ろうとしているが、輸送業界の関心を喚起することに苦戦している。

 イノヴェーション・エンタープライズ誌によると、IBMは、輸送業界および供給網向けのブロックチェーン活用に商機があると考え、同技術の開発と実用化への投資を注力してきたが、いまのところ、すでに期待を下回る結果しか出せていない。

 IBMとマースクは、トレードレンズを8月に市場投入し、貿易に関する業務過程の可視化と安全な物流記録管理、それらによる業務効率化への取り組みを始動させた。

 両社の協業事業として独立運営されるトレードレンズは、世界貿易の供給網にかかわる会社向けの運輸生態系をブロックチェーンによって構築することを狙っている。

 しかし、市場投入から2ヵ月がすぎる現在、トレードレンズはほかの運輸会社からの賛同を得られていないことをIBMはこのほど認めた。

 トレードレンズへの参加を決めた唯一の海運大手としてパシフィック・インターナショナル・ラインズがある。また、カナダの国境サービス局(Canada Border Services Agency=CBSA)は現在、トレードレンズを試験運用中だ。CBSAは、1日あたり1万4000台以上の入国トラックと12万7400件の入国輸送便を処理している。

 IBMでは、トレードレンズが多くの利用会社にとって国際供給網管理プラットフォームとして機能すれば、トレードレンズにもとづく業務効率化製品を開発して市場投入できると期待していた。しかし、「利用者がいなければ製品にならない」とトレードレンズのマーヴィン・アーデュリー統括責任者は述べた。

https://channels.theinnovationenterprise.com/articles/ibm-s-blockchain-supply-chain-solution-already-struggling