Wednesday, September 14, 2016 9:51 AM
温暖化の認識が二極化〜共和党に全否定派が急増
世界の平均気温が過去最高に達する中でも、米国人の地球温暖化に対する考え方は大統領選とも絡んでかなり分かれている。
クリスチャン・サイエンス・モニターによると、イェール大学気候変動コミュニケーション・プログラム(YPCCC)が国内で実施した調査では、温暖化は警戒すべき脅威ですぐに対応が必要と考える人が17%、心配だがまだ先の脅威と感じている人が28%、地球温暖化という考え方や関連情報自体を信じていない人が10%で、YPCCCのアンソニー・ライゼロウィッツ代表は「妊娠中絶問題よりも意見が政治的に分裂している」と指摘する。
地球温暖化に関して政党間の意見が違い始めたのは比較的最近で、共和党では2000年代初頭にジョン・マケイン上院議員が気候変動を阻止するための行動を積極的に支持、ジョージ・ブッシュ前大統領も二酸化炭素(CO2)の排出量を規制する必要性を認めていた。しかし近年は、多くの共和党議員が気候変動の概念自体を否定しており、同党大統領候補のドナルド・トランプ氏も地球温暖化は「でっち上げ」と繰り返し述べている。
ミシガン大学ジェラルド・R・フォード公共政策大学院による「エネルギーと環境に関する全米調査」では、気候変動を信じない共和党支持者の割合が昨秋の26%から今春には34%と大幅に増加した。同大学院のサラ・ミルズ研究員は「これまでの調査の最も劇的な変化の1つ」と話し、増加の一因は政界でのトランプ氏の台頭だと指摘した。
一方で、トランプ氏よりも「政治や共和党の立場に強い興味を持つ人々が増えたことが原因」という見方もある。温暖化対策で米国がどんな役割を果たすかは、大統領選の行方によって大きく変わる見通しで、トランプ氏は「大統領になったらパリ協定から脱退する」と宣言しているのに対し、民主党候補のヒラリー・クリントン氏は協定を支持している。
昨年末のCOP21で約200国が採択したパリ協定は、産業革命前からの世界の平均気温上昇をセ氏1.5度未満に抑えるという目標を掲げたが、すでに平均気温は1.3度も上昇しており、このままでは数十年以内に目標値を超えてしまう可能性が高い。