Wednesday, September 28, 2016 10:10 AM
デロイト、高齢者介護にも有給休暇提供
近年はIT、金融、専門サービス業界の大手を中心に寛大な有給育児休暇を提供する企業が増えているが、コンサルティング大手デロイトは、出産や育児だけでなく、高齢者介護、病気の家族やパートナーの看護など、さまざまな形で近親者の世話をする社員のために、給与を全額支給する有給休暇を最長16週間提供すると発表した。
ウォールストリート・ジャーナルによると、新制度は、新生児を持つ社員以外にも、家族の世話を重視する社の方針を示すための判断だという。他社の社員1000人を対象にしたデロイトの最新調査では、回答者の88%が育児休暇だけでなくより幅広い休暇制度を望んでおり、AARP公共政策研究所と全米介護者協会(NAC)による報告書では、18歳以上の米国人の約17%(約4000万人)が成人に無償でケアを提供している。
育児介護休業法(FMLA)は、家族の世話をする労働者に最長12週間の無給休暇を取得する権利を与えているが、すべての雇用主や労働者を対象としている訳ではなく、一般的に従業員50人未満の企業や多くのパートタイム労働者は対象外となっている。
米国は有給の介護休業があまり提供されておらず、先進国では唯一、有給育児休暇の提供が義務付けられていない。家族の世話をする社員のために何らかの形で有給休暇の提供を義務付けているのは、カリフォルニアを含む一部の州や自治体にとどまっている。それでも、最近は幅広い有給介護休暇を提供している企業が少ないながら少しずつ増えており、5月にはナイキが病気の近親者を看護する社員に最高8週間の有給休暇を提供すると発表した。
デロイトの新制度は今月から始まり、配偶者、同居パートナー、両親、義理の親、子供、兄弟姉妹を含む近親者が3日以上続けて介護を必要とする深刻な場合に提供される。また、出産する母親には、出産による短期所得補償が適用された場合、最長6カ月間の有給休暇が提供される。