Thursday, May 14, 2020 10:11 AM
SQM、コロナで20年のリチウム生産計画縮小か
チリの鉱業大手SQMは、今のところリチウムイオン生産に新型コロナウイルスの影響は出ていないものの、需要の低迷が続けば2020年の計画を縮小せざるを得なくなると警告した。
ロイター通信によると、リチウム生産量で世界第2位のSQMは20年、世界で最もリチウムが豊富な地域の1つであるチリのアタカマ塩原での生産拡大に3億3000万ドル以上を投じる計画だったが、新型コロナの感染爆発による世界経済の減速で中国のような主要市場で需要が減速し、計画の見直しを迫られている。
アルベルト・サラス会長は株主への書簡で「世界的な経済環境の変化や販売先である業界の需要の伸びへの影響を評価する中で、20年の設備投資計画は遅らせるか変更することが賢明との判断を下すかもしれない」と述べた。
自動車メーカーがコロナ禍で苦戦する中、米国と中国は電気自動車(EV)の導入を促進するための規制導入ペースを緩めることを示唆しており、主要市場におけるこうした決断は電池に使われるリチウムの需要に影響を与える可能性がある。
SQMやリチウム業界にとって今回のコロナのパンデミック(世界的大流行)は大きな問題で、すでに供給過多によってリチウム価格は過去1年で37%低下。SQMや同業のアルベマール(Albemarle、ノースカロライナ州)が活動拠点を置くチリでは、20年1〜3月期のリチウム輸出量が前年同期比で38.5%落ち込んでいる。
アタカマ地域の先住民指導者らは、コロナの感染拡大を食い止めるためSQMとアルベマールに業務停止を要請し、周辺のいくつかの村は地域を封鎖して外部からの交通を止めている。両社は感染拡大の防止で必要な対策を講じていると主張しており、生産への影響は最小限と報告している。