Monday, August 31, 2020 10:02 AM
BAEシステムズ、戦闘機開発にデジタル・ツインを活用
国防技術大手のBAEシステムズ(BAE Systems、英国拠点)は先日、英国の戦闘機「テンペスト(Tempest)」の開発に際してデジタル・ツインと三次元印刷を活用していることを明らかにした。
ニュー・アトラス誌によると、テンペストは現在、概念開発段階にあり、2035年での実用化が計画されている。第6世代と区分される戦闘機の一つで、2040年代に引退が予定されている「F35ライトニングII(F-35 Lightning II)」や「タイフーン(Typhoon)」といった現行世代の戦闘機を補完するものとして設計されている。
テンペストは、極超音速のミサイルを搭載し、ドローンの群れを制御する能力も有する。電気系統と推進システムはロールス・ロイス(Rolls-Royce)製で、大きな発電能力も持つため、レーザーを用いた武器の使用も可能だ。
テンペストの開発努力は、英国とスウェーデン、イタリアの合同事業と位置づけられており、BAEシステムズが提供する新しいデジタル技術によって、設計から実用化までの時間短縮を目指している。
BAEシステムズによると、設計は完全にデジタル化され、空気力学性能やそのほかの性能をコンピュータ上で模擬化して試験している。また、デジタル・ツインを使って地上の模擬化システムで試験飛行できる。デジタル・ツイン(digital twin)とは、物理的事象をデジタル環境で模擬的に再現することを意味する概念。
戦闘機の空気力学はきわめて複雑なため、模擬化の限界に達することもある。BAEシステムズはそのため、三次元印刷で作成した模型を超音速の風洞で試験して、形状の改良に役立てている。
BAEシステムズは、ロールス・ロイスやレオナルド(Leonardo)、MBDAとも協力して、検知器や機械学習システムを含む60種類の技術も設計および改良しつつある。最終的にそれらの試験結果を英国政府に報告し、戦闘機調達制度の次段階に役立てる計画だ。
https://newatlas.com/military/bae-systems-digital-twin-tempest-fighter-jet/