Tuesday, February 16, 2021 9:47 AM
EV所有で車の使用頻度低下か〜走行距離はガソリン車の半分
バイデン新政権は国を挙げた車の電動化推進を表明し、カリフォルニアなどの州は35年までにガソリン車の新規販売を禁止する方針を掲げているが、すでに電気自動車(EV)を所有している人は政治家が考えるほど車に乗っておらず、EVの走行距離は従来の車の半分にとどまっていることが最新調査で分かった。EVが単純にガソリン車に取って代わる移動手段にはならない可能性も出てきた。
■電動化コストを過小評価?
エレクトリック・カーズ・リポートによると、シカゴ大学、カリフォルニア大学デイビス校(UCデイビス)、カリフォルニア大学バークリー校 (UCバークリー)の研究班が、米国のEVの約半分が存在するカリフォルニア州のEV登録記録と数十億時間に上る電気メーターの測定値を分析したところ、家庭の1日の電力消費量がEVの出現によって1世帯当たり2.9キロワット時(kWh)増えたことが分かった。
この数字は、州の規制当局が想定した量の半分にも満たない。家庭外での充電を考慮して調整しても消費電力はEVが年間約5300マイル走れる分(eVMT)にしかならず、規制当局が想定するEV走行距離の約半分、またガソリン車の年間走行距離の半分にとどまる。
論文を共同で作成したUCデービスのデイビッド・ラプソン准教授(経済学)は「EVのコストと利点についてはまだ分からないことがたくさんある。従ってこのエネルギー転換については謙虚に考えるのが適切だろう。いくつかの技術的な道を残しておくやり方が望ましく、禁止や義務付けは時期尚早と思われる」と話している。
同じく共同論文作成者のシカゴ大学ハリス公共政策大学院のフィオナ・バーリグ助教授は「ここで言えることは、EVが未来の移動手段になるべきではない、またはならないということではなく、政策立案者が車の完全電動化のコストを過小評価している可能性があるということ」と指摘する。