Friday, March 19, 2021 10:22 AM
半導体の次はエアバッグ
米国を襲った記録的な寒波の影響でエアバッグ材料の供給不足懸念が強まっている。車載用半導体に続く、サプライチェーンにおける新たな不安となる。
東レは、自動車エアバッグに使われる「ナイロン66」製の繊維供給で、契約上の義務の不履行に対する免責を求める「フォース・マジュール(不可抗力条項)」を宣言した。東洋紡も、ナイロン66繊維を供給できない可能性があると納入先に通知した。ブルームバーグ通信が報じた。複数の化学品メーカーが繊維の原料供給について「不可抗力」宣言をしたのに対応した。
エアバッグを製造する芦森工業は東レからのフォース・マジュールの通知を受け、供給ひっ迫の状況が続く可能性があるため、エアバッグの生産調整を検討している。生産量への影響については調査中だ。
一台あたりの部品数が約3万点にも及ぶ自動車業界での供給網維持の難しさが表面化した格好で、自動車各社は工場の稼働停止や生産調整を余儀なくされている。。
調査会社IHSマークイットは、「原料であるアジポニトリルとヘキサメチレンジアミンは欧米の生産者にコントロールされている。寒波による原料供給への影響で、市場参加者は長期間にわたるナイロン66不足を予測しており、年内には解消しない可能性がある」とブルームバーグに述べた。
ユニチカによると、ヘキサメチレンジアミンの原料アジポニトリルは自然災害などの影響で供給の不安定な状況が続いており、ナイロン66の供給不足解消には数年はかかると見込まれている。
同社は、代替策として、ヘキサメチレンジアミンを使用しないナイロン樹脂を開発した。こうした、代替製品を供給する動きが続くかは、まだ、不明だ。
不足しているのは、繊維ばかりでなくバンパーなど多くの部品の原材料となっている樹脂も同様だ。塩ビ最大手の信越化学などテキサス州の複数の化学大手の工場が停止し、大きな影響が出始めた。寒波到来以来、2ヶ月が過ぎ、在庫が尽きてきているのが表面化している。