Friday, August 20, 2021 11:07 AM

ブロックチェーンの次なる用途は炭素相殺

 炭素相殺(carbon offset)市場が、ブロックチェーン技術の有効活用の場として台頭する可能性がある。

 カーボン・オフセットとは、環境省によると、「市民、企業、NPO/NGO、自治体、政府等の社会の構成員が、自らの温室効果ガスの排出量を認識し、主体的にこれを削減する努力を行うとともに、削減が困難な部分の排出量について、クレジットを購入すること又は他の場所で排出削減・吸収を実現するプロジェクトや活動を実施すること等により、その排出量の全部又は一部を埋め合わせることをいう」と定義されている。

 ブロックチェーン技術を提供するデータ・ガンボ(Data Gumbo)の設立者兼CEOのアンドリュー・ブルース氏は、フォーブス誌に寄稿した記事のなかで、炭素相殺が短期的なブロックチェーンの用途として適しているという見方をを示した。

 同氏によると、証券取引委員会によるESG(environmental, social, and governance=環境、社会責任、企業統治)報告要件をはじめ複数の要因を背景として、多くの大企業が温室効果ガス排出の削減努力を積極化させている。そのなかでふたたび注目されるようになったのが炭素相殺の手法だ。

 炭素相殺は、温室効果ガスを排出する企業活動をどうしてもやめられない場合に代替手段となるが、炭素相殺をめぐる賛否両論もある。よく批判される点としては、1)排出削減が間接的、2)測定と検証が困難、という二つが挙げられる。ブロックチェーンは後者の問題解決に役立つ、とブルース氏は述べている。

 相殺を測定および検証する現行手法には、植樹した場所を衛星やドローンからの撮影画像で証明するといった方法があるが、同市場には規制や監査がほとんど存在せず、全体に透明性が欠けているのは否めない。

 しかし、ブロックチェーン技術で管理すれば、産業用モノのインターネット(IIoT=Industrial Internet of Things)で管理される生産工場のように、特定の活動の排出量や相殺量をほぼリアルタイムで、人手を介さずに正確に把握できるようになる。

 ブロックチェーンは監査可能のシステム・オブ・レコード(SOR)であり、コスト効果の高い方法で標準化と説明責任をもたらせる、とブルース氏は説明している。

https://www.forbes.com/sites/forbestechcouncil/2021/08/16/the-near-term-future-of-blockchain-tracking-carbon-offsets/?sh=71abab245790