Monday, November 01, 2021 11:20 AM

デル、医療向けデジタル・ツインを開発へ

 デル(Dell)は、バイオ医療研究を推進する非営利団体のアイトゥービートゥー・トランスマート財団(i2b2 tranSMART)と協力して、新型コロナウイルス感染症の症状が長期化する患者の治療を目的としたデジタル・ツインを開発する。

 コーヴィッド19(COVID-19)患者のうち症状が慢性疾患化する割り合いは5%だ。

 デジタル・ツイン(digital twin)とは、物理的事象をデジタル環境で模擬的に再現することを意味する概念。

 ベンチャービート誌によると、デルが開発する新しいツールは、個人特定可能の情報をすべて削除して患者のプライバシーを保護したうえで、遺伝情報や既往歴といった各種のデータにもとづいて数百万種類に上る治療法を仮想的に模擬化できるようにすることを目指している。

 デルは、医療業界のデジタル変革を重点事業の一つにしている。「人工知能を駆使した研究とデジタル・ツインによって、世界各地の病院や研究機関をサポートする」「技術を活用して2030年までに10億人の医療および教育および経済機会を前進させるのが当社の目標だ」と、同社の戦略的社会貢献活動責任者のジェレミー・フォード氏は説明している。

 i2b2は、精密医療を主題にしたオープン・ソースの研究&開発コミュニティーだ。患者のプライバシーを守りながら患者に恩恵をもたらすために、医療関連の機微情報を共有かつ分析するための事業に重点を置いている。

 同団体の最高設計責任者ショーン・マーフィー氏は、医療向けデジタル・ツインが「実際の患者に似た人物」を見つけて比較するうえで欠かせない」と説明している。年齢や性別、民族(人種)といった属性において特徴が類似した患者にとって最善の治療法を見つけるのに役立つ、と同氏は話している。

 医療デジタル・ツインを開発する際には、患者の既往歴や問診票の記入内容のほか、心拍数や人工呼吸器の記録を含む多岐にわたるデータを取り込む。「将来、それらを活用して、個別化された治療法の模擬化を数百万と行ったうえで、個々の患者それぞれに最善治療法を見つけられるようになる」と、マーフィー氏は述べた。

https://venturebeat.com/2021/10/31/medical-digital-twins-secure-covid-19-data/