Monday, January 24, 2022 11:45 AM

各国中央銀行のデジタル通貨導入に向けてBPIが不可欠

 世界各国の中央銀行がデジタル通貨を導入する可能性を模索している。銀行業界は、その動きに対応するために、自社の業務処理過程の管理能力を高める必要があり、業務過程インテリジェンス(business process intelligence=BPI)を高める必要性にせまられている。

 SAPの銀行業界向けソリューション事業部門で最高技術革新責任者を務めるトーステン・ホフマン氏は、ベンチャービート誌に寄稿した記事のなかで、現時点において独自のデジタル通貨の導入を模索している中央銀行が世界に60行以上ある、と指摘した。

 それによると、中国は、デジタル通貨(デジタル人民元)を香港の「ファースト・ペイメント(Fast Payment)」システムと連結させる可能性を検討中で、かたやイスラエルは、デジタル・シェケルに関する調査を進めている。

 中央銀行がデジタル通貨を発行し運用すれば、銀行業界を抜本的に変えることにつながり、銀行らはその激変に向けていまから準備する必要がある。

 中央銀行のデジタル通貨がすぐに実現するわけではもちろんない。本格的な導入までに解決しなければならない課題もある。セキュリティーや規制要件、拡張性といったさまざまの要素を確認しなければならない。

 いずれにしても、本来、金融取り引きを迅速化かつ効率化するはずのデジタル変革が新たな致命的問題を生み出さないようにするためにBPIを改善しておく必要がある、とホフマン氏は提言している。

 BPIとは、リアルタイムの業務データにもとづいて、業務処理過程の弱みがどこにあるかを各過程ごとに分析する技術だ。ホフマン氏によると、デジタル通貨の取り引きでダウンタイムが発生しないようにするにはBPIが不可欠だ。

 中央銀行のデジタル通貨がかりにハッキング被害を受けたり、何らかの理由で暴落したりすれば、一国の経済に大打撃を与えかねない。そういった筋書きに対する「防弾着」がBPIであり、BPIが実際に活用されるようになって初めて、中央銀行のデジタル通貨が現実味を帯びてくる、とホフマン氏は論じている。

https://venturebeat.com/2022/01/20/making-central-bank-digital-currencies-bulletproof-with-business-process-intelligence/