Thursday, June 30, 2022 11:40 AM

シーメンスとエヌビディア、産業用メタヴァースで提携

 シーメンス(Siemens)とエヌビディア(Nvidia)は6月29日、産業用メタヴァースの技術開発について提携したことを明らかにした。

 ベンチャービート誌によると、シーメンスは、これまで工業分野におけるさまざまの側面をデジタル・ツインで仮想再現しており、それによってつちかった知見と専門性をいかして産業用メタヴァースを実現するためにエヌビディアと協力し、人工知能を活用したデジタル・ツインの開発能力を高める。

 メタヴァース(metaverse)とは、インターネット上に構築された三次元の仮想空間で、デジタル・ツイン(digital twin)とは、物理的事象をデジタル環境で模擬的に再現することを意味する概念。

 フォーチュン・ビジネス・インサイツによると、デジタル・ツイン技術とそのサービス市場は2022年に89億ドル、2029年には960億ドルに達すると予想される。

 シーメンスとエヌビディアの協業では、シーメンスの工業向け設計&開発技術をエヌビディアのオムニヴァース(Omniverse)プラットフォームに統合する。それによって写実的な仮想模擬化を可能にする。

 「デジタル・ツインの価値は、仮想世界を現実世界にどれだけ近付づられるかにかかっている」と、シーメンスのトニー・ヘメルガーン社長兼CEOは説明している。

 シーメンスは、オムニヴァースを使う利点の一つとして、試作品を物理的に作製する必要性がなくなることを挙げている。たとえば、自動車業界では新車の設計業務を仮想化する動きもあるが、非常に専門化された技術を使って特定部門でのみ行われているのが一般的だ。オムニヴァースは、新設計を視覚化する能力をはるかに多くの人たちにもたらすことができ、その結果、多数の事業所で複数の共同開発を加速できるようになる、とヘメルガーン氏は話した。

 エヌビディアのオムニヴァース事業担当副社長レヴ・ルベアディアン氏は今回の提携について、「情報技術と運用技術が交差する分野および領域におけるシーメンスの高い専門性はわれわれにはない」「かたや、人工知能はわれわれの得意分野で、リアルタイムの処理にかけてはわれわれの右に出るものはない」「したがって、両社の提携は非常に特異であり、相乗効果を生み出す」と述べた。

https://venturebeat.com/2022/06/29/siemens-and-nvidia-partner-to-enable-digital-twin-for-the-industrial-metaverse/