Tuesday, September 20, 2022 3:56 AM
法人向けブラウザーがあいついで登場
遠隔勤務のセキュリティーを向上させるために、法人向けウェブ・ブラウザーの開発があいついでいる。
ベンチャービート誌によると、自宅やほかの場所で仕事をする従業員が増え、多くの会社の業務環境が分散していることを受けて、ウェブ・ブラウザーを含む消費者向け技術製品分野ではセキュリティーを確保する動きが鮮明化しており、その延長線上の動きとして、法人向けにセキュリティー機能を強化したブラウザー群が登場している。
その一つを開発するタロン・サイバー・セキュリティー(Talon Cyber Security)は8月4日、シリーズAの資金調達によって総額1億ドルの投資を獲得したことを明らかにした。同社のブラウザーは、従業員らが私物の端末を企業通信網に接続して使う際に、当該会社のIT部門が通信接続管理者権限を行使できるようにするものだ。
この種のソリューションは、会社のアプリケーションやデータへの利用者アクセスを管理し、安全を確保するよう設計されている。また、データ損失の防止策やゼロ・トラスト認証の体制を実現できるようにする。ゼロ・トラスト(zero trust)とは、「何も信用しない」という大前提のもとにセキュリティー対策に取り組む概念。これまでは、ファイヤーウォールで防御された通信網内についてはセキュリティー対策が万全だとみなしたが、防御線の内外をとわず信用できるものはなにもないという考えにもとづいてセキュリティー対策に取り組む方策や姿勢を意味する。
ベライゾンの調べによると、基本的なウェブ・アプリケーションをねらった攻撃による不正侵入は、2021年だけで4751件が確認された。ログイン情報の窃盗や、脆弱性またはバックドアの悪用が増えた結果だ。
コンサルティングおよび調査会社のフロスト&サリヴァン(Frost and Sullivan)によると、会社らがゼロ・トラスト環境を構築するうえでブラウザーは重要な要素と位置づけられる。ブラウザーは、IT管理班がアクセスに関する方針(規則)を設定してウェブ・アプリケーションを確実に管理し、マルウェアの侵入やログイン情報の盗取を防ぐといった役割りを果たす。
法人向けブラウザーは比較的新しい市場分野だ。新興企業のアイランド(Island)は、初の法人向けブラウザーを2022年2月に発表したのち資金調達を実施し、企業評価額を13億ドルに急拡大させた。
そのほか、セラフィック(Seraphic)は、クローム(Chrome)やエッジ(Edge)、サファリ(Safari)、ファイヤーフォックス(Firefox)のための法人向けブラウザーを提供している。
https://venturebeat.com/2022/08/04/talon-enterprise-browser/