Tuesday, October 18, 2022 11:50 AM

供給網を人工知能でさらに可視化しインフレーションに対抗

 人工知能を活用して供給網の可視性をもたらす技術が、物価上昇を受けて重要性を増している。

 意思決定を支援する商用アプリケーションは、一般に「意思決定インテリジェンス(decision intelligence=DI)」と呼ばれる製品分野に属する。DI製品を開発する新興企業は近年に増えている。

 ベンチャービート誌によると、2015年に設立されたピーク(Peak)はその一つで、ほかには09やC3、データロボット(DataRobot)といった新興企業がある。

 ピークのプラットフォームは、消費者製品のメーカーらをはじめ、おもに小売業界と製造業界で使われることを想定している。DIは、供給網全体からデータを取得して人工知能で分析することによって、資材調達や在庫管理、物流管理、価格設定といった意思決定の最善化および最適化を支援する。

 ピークは、技術畑と事業畑の両方の部署が一つのプラットフォームを使えるようにすることで、各社が人工知能を導入しようとする際の課題克服の簡便化を図っている。

 たとえば、食料品配達会社モダン・ミルクマン(Modern Milkman)では、供給網の完全な可視性を実現することに取り組んだ際、ピークの技術を活用してデータ主導で需要を予想し、食料品廃棄物を減らし、むだなコストを削減した。

 昨今の物価上昇を受けて、値上げの代わりに内容量を減らす会社は増えている。そういった「シュリンクフレーション(shrinkflation)」(価格を据え置いて量を減らす)は、コスト上昇による打撃を一時的に緩和するが、消費者にかならずしも好感視されない。さらに、梱包資材費や輸送費、および固定経費の削減にはつながらないという難点もある。

 おもなシュリンクフレーションとしては、ネスレが最近、菓子のキャッドバリー・デイリー・ミルクの容量を200グラムから180グラム減らした例や、ペプシコが32オンスのゲイタレイド・ボトルを28オンスに縮小した例がある。

 しかし、会社らはシュリンクフレーションを避けられるのであれば避けることを非常に重視している。そこで着目されるのが、供給網のさらなる合理化だ。供給網管理効率化は近年にかなり進んだが、記録的インフレーションを受けて、人工知能によってさらに合理化することが求められている。

 人工知能によって供給網をさらに可視化できれば、「何をいつ製造すべきか、原料がいくらか、パレットあたりのコストがいくらか、もっとも効率の良い配経路がどれかを理解できるようになる」「未来を見通す水晶の玉ではないが、人工知能で供給網を可視化することはその次善のものだ」と、ピークの幹部アイラ・ダビンスキー氏は述べた。

https://venturebeat.com/ai/how-ai-can-help-companies-beat-inflation-and-avoid-shrinkflation/