Tuesday, January 31, 2023 11:54 AM

人工知能が創作した作品の著作権はだれのものか

 生成人工知能(generative AI)の技術進歩にともなって、著作権の問題が浮上している。

 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、クリス・カシュタノヴァ氏は、人工知能ツールが描いた絵を使って18ページの漫画本を制作し、2022年にその種の書籍とした初めて米国議会図書館から著作権を取得した。しかしその後、同氏の著作権の妥当性が疑問視され、現在審議中となっている。

 未来的世界を舞台にしたフィクションの同作品「夜明けのザーリヤ(Zarya of the Dawn)」の制作は、呪文を唱えて魔術をかけるかのような体験だった、とカシュタノヴァ氏は振り返る。たとえば、「ニューヨークの摩天楼(New York Skyline)」や「森(forest)」といったキーワードを人工知能プログラムにタイプして、絵が返ってくるのを待ち、その結果を見て、「薄明光線(Crepuscular rays)」や「壮大な場面(Epic scene)」というキーワードを追加して、自分が描いたイメージに近い絵に変えていく。

 カシュタノヴァ氏はその制作の過程で、既存の絵やオンライン写真を合成して画像を生成する「ミッドジャーニー(Midjourney)」というサービスを使った。文章はすべて自分の創作だが、挿し絵は、ミッドジャーニーが生成した画像に手を加えたものだ。同氏は、挿し絵担当の共著者としてソフトウェアの名前を書籍表紙に入れた。

 カシュタノヴァ氏は、著作権局の判断がどちらになってもあまり気にしていないと話している。もともと、ライセンシング収入のすべてを非営利団体に寄付するつもりで著作権を申請した、と同氏は説明している。同著の挿し絵に関する著作権係争の弁護料はミッドジャーニーが払っている。

 生成人工知能が創作した成果物に絡む著作権は、この数週間に急激に切迫した問題になりつつある。

 ソフトウェア開発者のスティーヴン・テイラー氏は先日、自分で開発したプログラムを使って制作した絵画作品の著作権を却下されたため、著作権局に対する訴えを起こした。テイラー氏は、プログラムを自分で開発したのだから、その生成画像の著作権も自分に帰属すると訴えているが、著作権局は、人工知能のみが制作した作品と知ったうえで著作権を登録することはしないと説明している。

https://www.wsj.com/articles/ai-generator-art-midjourney-zarya-11674856712? mod=tech_listb_pos1