Friday, October 13, 2023 11:51 AM

人工知能が選ぶ株式銘柄のETFを提供

 公認投資助言サービス会社(registered investment adviser)のシンプリファイ・アセット・マネジメント(Simplify Asset Management)は、人工知能がポートフォリオ用に投資銘柄を選んで決める三つの上場投資信託(exchange-traded fund=ETF)商品を新たに市場投入する計画だ。

 人工知能が投資銘柄を選別し、それらを投資商品として販売することは近年に台頭した市場だが、これまでのところ、明確な成果を投資家らにもたらしていない。

 ロイターによると、シンプリファイが10月11日に米証券取引委員会(Securities and Exchange Commission=SEC)に提出した書類では、同社の新商品群は、ETFの売買を決定する際に、金融業界にサービスを提供する人工知能コンサルティング会社ブーステッド・ドット・エイアイ(Boosted.ai)が設計したモデルからの推奨におもに依存する、と説明されている。

 モーニングスター・ダイレクトのデータによると、すでに13のETFが投資過程に人工知能を取り入れている。シンプリファイが提案する0.20%の管理手数料は中央値の0.75%を大きく下回ることから、資金運用担当者の代わりに人工知能を使うことでコストを下げるという利点を投資家たちにもたらす。

 投資業界では何年か前から、投資銘柄を選ぶ際に人工知能を活用している。ただ、アルゴリズムに依存する投資商品に資金を投じることに警戒心を持つ投資家は多い。何らかの作用で異常または過剰の取り引きが実行される可能性を危惧するためだ。

 投資家らが警戒する根拠は実際にある。アクティブ運用の投資信託やETFのポートフォリオ回転率は通常50%だが、100%という場合もある。それに対し、人工知能が投資判断するETFの回転率は約150%からで、特に注目される商品の一つであるAIパワード・エクイティーETFでは1700%に達する。

 米国のETF市場7兆ドルのうち、人工知能が判断するのは6億7350万ドル相当だ。したがって、現時点では、人工知能駆動型ETFは、全体からみるとまだ非常に小さい部分しか占めない。

 ただ、より訓練された新たなモデル群がこれから登場し、一定以上の成果を証明すれば、人工知能が売買判断をくだすETFの割り合いが拡大することは容易に想像できる。

https://www.reuters.com/business/finance/simplify-asset-management-roll-out-etfs-based-ai-driven-stockpicking-2023-10-12/