Tuesday, December 05, 2023 11:56 AM

IBM、次世代の量子プロセッサーと量子システムをデビュー

 IBMは12月4日、ニューヨークで開いた年次会議IBMクアンタム・サミット(IBM Quantum Summit)において、設計に4年を費やした実用規模の量子プロセッサー「クアンタム・ヘロン(IBM Quantum Heron)」をデビューさせた。クアンタム・ヘロンは、新シリーズの最初の製品で、IBMの量子プロセッサー群のなかで最高性能と最低のエラー率を誇る。

 PRニューズワイヤーによると、IBMはまた、IBMクアンタム・システム・トゥー(Quantum System Two)を発表した。クアンタム・システム・トゥーは、同社初のモジュール式量子コンピューターであり、同社の量子中心スーパー電算構造の基礎となる三つのクアンタム・ヘロン・プロセッサーとサポート制御電子機器を搭載する。同システムは、ニューヨークのヨークタウン・ハイツの施設に設置されており、すでに稼働を開始した。

 量子電算システムの設計と構築に注力するIBMは、量子ハードウェアや理論、ソフトウェアにおける画期的な進歩とともに、ゲート操作の品質を大幅に向上させるための新たな目標を掲げている。同社はそれにともなって、量子開発計画を2033年まで延長した。独自の量子プロセッサーと量子電算システムの構築はその中核と位置づけられる。

 IBMは、127量子ビットのクアンタム・イーグル・プロセッサーを2023年初めに実演した。同プロセッサーで走る量子電算システムは、古典的な模擬化を超えて、化学や物理学、材料科学における実用規模の演算を実行できることが実証されている。

 それ以来、IBMの量子プロセッサーと電算システムは、米エネルギー省アルゴンヌ国立研究所や東京大学、ワシントン大学、ケルン大学、ハーバード大学、カリフォルニア大学バークリー校、CIAの研究機関を含む世界各地の研究者や科学者、技術者らによって実証が拡大されている。

 133量子ビットのクアンタム・ヘロンはすでにクラウド提供されており、一部の研究機関によって実験が開始された。クアンタム・ヘロンは、クアンタム・イーグルが記録した過去最高の演算処理精度を5倍上回る。クアンタム・ヘロンは、2024年にIBMの各種の実験システムに追加され、試験運用が本格化される。

https://www.prnewswire.com/news-releases/ibm-debuts-next-generation-quantum-processor–ibm-quantum-system-two-extends-roadmap-to-advance-era-of-quantum-utility-302004058.html