Friday, December 22, 2023 6:26 AM

ハイパーループ・ワン、事業閉鎖へ〜超高速輸送システム実用化ならず

 真空チューブの中を列車が超高速で走る輸送システム(ハイパーループ)の実現化を目指したハイパーループ・ワン(Hyperloop One、ロサンゼルス拠点)が、事業を閉鎖することが分かった。システム建設に向けた契約をどこからも獲得できなかったため。ブルームバーグが21日、事情に詳しい関係者の話として伝えた。

 ロイターによると、2014年創業のハイパーループ・ワンは、20年に世界で初めて人を乗せて超高速浮上ポッド(丸みを帯びた形状の乗り物)システムを動かすのに成功していた。しかし現在、ほとんどの従業員を解雇し、テストコースや機械など残りの資産を売却しようとしているとブルームバーグは報じた。残りの従業員の雇用は12月31日に終了する。

 ハイパーループ・ワンはロイターのコメント要請に応じていない。

 磁気浮上技術を利用してほとんど音が出ない移動を可能にするハイパーループ・システムでは、ニューヨーク〜ワシントンDC間の移動にかかる時間がわずか30分。これは商用ジェット機の2倍、高速鉄道の4倍の速さになる。

 実業家のイーロン・マスク氏は13年、最新のハイパーループ・システム構想を公表し、以前からあったこの技術に再び光を当てた。同氏自身のシステム開発事業ザ・ボーリング・カンパニー(The Boring Company)は、都市間を巨大な地下真空管でつなぎ、ポッドで乗客を運ぶシステムの構築を目指している。