Tuesday, December 26, 2023 11:53 AM
米国内の技術集積都市群が転換点に
労働市場分析会社ライトキャスト(Lightcast)の最新の調査結果を分析した政策研究団体ブルッキングス(Brookings、ワシントンDC拠点)によると、米国内有数の技術集積都市および地域が多くの技術人材を引きつけてきたというこれまでの状態が転換点に達している。
シリコン・バレーやサンフランシスコ、ボストン、ニューヨーク、ロサンゼルス、ワシントンDCといった伝統的な技術集積都市または地域では近年に技術人材が流出し、その結果、それらの地域の技術人材人口が米全体の技術人材人口に占める割り合いは縮小している。
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、その動向は、革新と投資をより地域的にしようとする技術生態系システムを反映したものであり、全米規模の潮流でもある。そういった動向によって勝ち組みとなっているのは、デンバーやソルト・レイク・シティー、マイアミ、ナッシュヴィルといった都市だ。
最大規模の勝者のうち三つはテキサス州のダラスとオースティン、そしてヒューストンだ。それらの3都市の技術人材と技術業界生態系は、2020年から2022年にかけて米国内でもっとも大きく成長した。その顕著な技術集積都市化は、「テキサス」から「テクサス(Tech-sas)」に改名すべきと言われるほどだ。
技術集積都市分散化は、新型コロナウイルス・パンデミックによる遠隔労働やハイブリッド労働の普及によってさらに加速した。ブルッキングスの上席研究員マーク・ムロ氏によると、シリコン・バレーは、2023年までの2年間に1400人近くの技術関連労働者を失った。同地域の技術大手の資金人材採用凍結や解雇もその主因の一つであり、その傾向は2024年に入ってからも続くと予想される。それに対しテキサス州ダラス=フォート・ワース大都市圏では、同じ2年間に3万人の技術系雇用が増えた。
そういった動向は、二つの長期的な傾向によって説明できる。一つは、各地域の技術業界生態系(起業家たち、ベンチャー・キャピタル投資、技術人材、新興企業支援)が拡充され、伝統的な技術集積都市から遠く離れた地域でも独自の技術産業の構築と展開を実現できるようになったことだ。
もう一つは、あらゆる業界の会社らが技術人材の雇用を増やしていることだ。近年、金融から製造業、小売、医療、教育まであらゆる業界の会社らがクラウド・サービスやデータ分析、人工知能技術の活用を加速させている。その結果、非技術会社らはIT管理やサイバーセキュリティー、データ科学といった技術人材の採用を積極化させている。
不動産大手CBREの2023年技術人材調査報告書によると、米国とカナダの技術労働者の約60%は、医療や教育、エネルギーといった非技術業界に従事している。
https://www.wsj.com/tech/personal-tech/smaller-tech-hubs-rise-of-the-rest-6c2b142f?mod=tech_lead_pos4