Tuesday, October 07, 2025 7:14 AM
シラ、シリコン負極材の量産間近〜ワシントン州工場が正式稼働
シリコン負極材メーカーのシラ・ナノテクノロジーズ(Sila Nanotechnologies、カリフォルニア州) は、ワシントン州モーゼスレイクに建設した大規模なシリコン負極工場の本格操業を開始した。
エレクトライブによると、同社が商業化に取り組むシリコン負極材「タイタン・シリコン」の量産も近く始められる見通しだという。「タイタン・シリコン」は、電動モビリティー、消費者用電子機器、ドローン、拡張現実と仮想現実(AR/VR)技術、人工衛星など幅広い用途で使われる見込みで、従来の黒鉛負極に比べて電池のエネルギー密度を20%高め、充電時間の短縮にもつながると期待されている。
自動車分野の最初の顧客はメルセデス・ベンツで、将来はパナソニックにも納品する。
モーゼスレイク工場には自動車向けの生産ラインと品質システムが整備されているが、工場の設計・建設段階から厳格な安全・環境システムが導入され、各設備にプロセス安全管理機能が組み込まれて、一貫して高品質の「タイタン・シリコン」を各産業の顧客に供給できる体制となっている。
工場の建設では、エネルギー省の製造・エネルギー供給チェーン局(MESC)から1億ドルの助成金を獲得した。シーラが「米国のエネルギー自立に向けた節目」と自負する同工場の年間生産能力は、現在は電池容量換算で2〜5ギガワット時(GWh)だが、5年以内に最大250GWhに拡張される予定で、世界最大の負極材製造施設となる見込み。
シーラは「これで主に中国から供給されている黒鉛の負極材は不要になり、米国内で製造される別の素材に置き換わる」と強調している。