Wednesday, October 08, 2025 7:24 AM

車用アルミに深刻な供給懸念

 アルミニウム生産大手ノベリスのニューヨーク州にあるオスウェゴ工場で9月に発生した火災が10月になって、予想を超えて深刻なことがわかり、今後数カ月にわたり、フォードや他の自動車メーカーの事業が混乱するという見通しとなった。7日の株式市場では、主要顧客のフォードが大きく売り込まれた。。

 火災は25年9月16日の夜間に発生した。被害が特に甚大だったのは「ホットミル(熱延設備)を含む建屋」。自動車用アルミ板を生産する重要工程の一部が機能停止に追い込まれた。工場は、米国の自動車産業向けアルミ板生産の重要な拠点で、米国内の自動車用アルミ板の約40%を供給していた。

 ノベリス(Novelis)は、インドのヒンダルコ・インダストリーズ(Hindalco)の子会社で、アルミの圧延・リサイクルを手がける世界的な企業。ノベリス全体では、自動車用アルミ板の生産規模は年間35万メトリックトン。ノベリスはヨーロッパ、ブラジル、韓国など他拠点からの出荷を模索しているが、米国への輸入には50%の関税がかかる。

 アルミ供給が不安定になることで、自動車メーカーは一斉に、供給先の多様化の検討を始めた。トヨタ、ステランティスなどは、代替供給先の確保に動いていると報道されている。。

 オスウェゴ工場のダメージを受けた部分は26年初頭まで復旧できない可能性が高い。フォードが最大の顧客で、特にF‑150ピックアップモデルのアルミ使用量が多いため、影響が懸念されている。