Tuesday, November 15, 2016 10:24 AM

ファイザー、一般医薬品事業の分離を検討

 製薬大手ファイザーは、大衆薬(OTC薬)を含む一般健康用品部門の売却またはスピンオフ(分離・独立)を検討している。ロイター通信が関係者の話として伝えた。

 この部門にはリップクリーム「チャップスティック(Chapstick)」や鎮痛剤「アドビル(Advil)」などが含まれ、価値は140億ドルに上る可能性がある。ファイザーは、特許期間が残っている薬品と後発薬(ジェネリック)などの事業を2つに分割する計画を2014年初めから検討していたが、今年に入って実施を見合わせている。

 イアン・リード最高経営責任者(CEO)は最新の四半期決算報告で、「引き続き一般健康用品事業などは別会社にするのと維持するのとどちらが価値が高まるかを考えている」と話していた。同社の一般健康用品部門の年間売上高は約35億ドル。

 OTC薬は処方薬に比べ収益性が低く、業界では事業の削減を目的に売却する例が増えている。同業のメルクは14年に便秘薬「ミララックス(MiraLAX)」などの一般医薬品事業をドイツのバイエルに142億ドルで売却。グラクソスミスクライン(GSK)とノバルティスは15年初頭、GSKが運営する合弁事業を通して一般医薬品事業を統合することで合意した。

 一方、英消費者用品大手レキット・ベンキーザー・グループのラケシュ・カプールCEOは15年に「もしファイザーの一般医薬品部門が売りに出されれば買収する」と述べている。

 今年の製薬業界は全般的に買収・統合(M&A)の動きが鈍かったが、ファイザーはアイルランドのアラガンを1600億ドルで買収する計画を中止した後も積極的な動きを続けており、5月に皮膚炎治療薬などを手がけるアナコール・ファーマシューティカルズを52億ドルで買収後、8月には抗がん剤メーカーのメディベーションを140億ドルで買収している。