Tuesday, June 13, 2017 10:00 AM

データ科学者、人工知能で自殺リスクを予想

 ヴァンダービルト大学医療センターのデータ科学者であるコリン・ウォルシュ氏とその研究班は、人工知能を使って自殺リスクを予想し、自殺予防に役立てる研究を進めている。

 同研究班は、患者が自殺を図る可能性を予想する機械学習アルゴリズムをすでに開発し、その精度を検証したばかり。

 マークル誌によると、ウォルシュ氏らは、年齢や性別、服用中の医薬品、既往歴(病歴)を含む患者の入院データをもとに、アルゴリズムの予想精度を検証した結果、向こう2年間に自殺を試みるリスクについては80〜90%の精度、翌週までに自殺を試みるリスクについては92%で予想できたことを報告した。

 研究班は、アルゴリズムの開発にあたって患者5617人分のデータを収集した。そのうち3250人が自殺を図った。研究班によるデータ解析の結果、自殺の可能性を示す最大要因として知られる自傷の兆候があったすべての患者に入院措置がとられた。

 ウォルシュ氏らの研究はまだ始まったばかりだが、人工知能が自殺予防の有効な手段であることは間違いないとみられる。

 ただ、自傷歴のない1万2000人の患者を対象にした別のアルゴリズムを使った研究では、ウォルシュ氏の研究よりも自殺予想精度が高かったことが報告されている。しかし、自殺を試みる兆候がある場合、つまり自傷行為がある患者については、ウォルシュ氏らのアルゴリズムの精度が高いと評価されている。

 一方、患者データを人工知能で解析することに関しては、プライバシー侵害懸念が提起されるであろうことは想像にかたくない。

 病院には、患者の自殺リスク予想のために必要なデータが保存されている。将来、自殺防止の有効な手段として人工知能が普及するかどうかは、今後のアルゴリズムの進化や、プライバシー問題にいかにうまく対処できるかにかかっているといえる。

https://themerkle.com/data-scientists-use-artificial-intelligence-to-predict-suicide-attempts/