Tuesday, October 17, 2023 11:54 AM

アイオーニックス、電池材料の開発を人工知能で加速

 新興企業のアイオーニックス(Aionics)は、電池に適した材料を発見するために人工知能を活用している。

 現在、商業的に販売されている分子は100億種類存在する。電池の電極には通常、5つの材料が使われる。それだけ多くの候補のなかから最適の組み合わせを見つけるというのは、手間と時間とコストが非常にかかる作業過程だ。創薬の過程と同じで、研究&開発に何十年もかかる可能性がある。

 テッククランチ誌によると、「候補がありすぎて時間が足りないことが問題だ」と、アイオーニックスの共同設立者兼CEOのオースティン・センデック氏は話す。

 電極の研究&開発を専門とする同社は、人工知能を活用して触媒に適した材料を発見する過程を加速しようとしている。

 パロ・アルト拠点のアイオーニックスは2020年に設立され、これまでに350万ドルを調達した。そのうち320万ドルは、アップ・ドット・パートナース(UP.Partners)といった投資会社からシード資金として調達した。

 アイオーニックスは、ポルシェの子会社で電池を製造するセルフォース(Cellforce)を含む数社とすでに協力関係にある。また、蓄電池を開発するフォーム・エナジー(Form Energy)や日本のレゾナック(旧昭和電工マテリアルズ)、電池技術を開発するキューバーグ(Cuberg)とも協力したことがある。

 アイオーニックスの研究&開発過程は、達成したい性能や特徴、そのほかさまざまの要素を定義することから始まる。その後、既知の分子に関する情報を収録した既存のデータベースで模擬化する。毎秒1万件の候補を検討できるという。人工知能モデルは、模擬化の結果を予想することを学習していき、次の候補の選択を助けるようになる。模擬化を行うごとにデータが生成され、問題解決能力が向上していく。

 アイオーニックスでは、2023年に入って生成人工知能も使うようになった。既存の電池材料のデータで訓練し、特定の用途に適した新しい分子を設計することを目指している。同社は、データベースで模擬化する前に候補を絞り込むために、オープンAIのGPT-4(Generative Pre-trained Transformer 4)を基本とする大規模言語モデルを使っている。

https://techcrunch.com/2023/10/14/how-generative-ai-is-creeping-into-ev-battery-development/