Monday, July 24, 2017 10:48 AM

ゲームに没入、社会から脱落〜働かない若い男性増える

 2000年以降、ビデオゲームの世界に没頭して働かない若い男性が国内で増えていることが、プリンストン、シカゴ、ロチェスター各大学の共同調査で分かった。

 ウォールストリート・ジャーナルによると、これらの男性は働く男性よりも幸福度が高い半面、実家で父母の世話になっていることが多い。3大学の研究者らは、将来の雇用や収入の見通しに悪影響を及ぼす可能性が高いと見ている。

 調査によると、00年から16年にかけて、学生ではないのに前年に働いていなかったという男性の割合が8%から15%へと上昇した。00年以降、若い男性の労働時間は減少しており、研究者らは減少分の23〜46%はゲームが原因とみている。21〜30歳の男性の労働時間は00〜15年に12%減少し、31〜55歳の男性は8%減少した。若い男性の方が減少率が4ポイント高い理由の75%は、コンピュータやゲーム関連テクノロジーの進歩と関係すると考えられるという。

 若い「ビデオゲーム・ドロップアウト」たちは、平均して年間520時間をコンピュータに費やし、その60%をビデオゲームに投じており、実社会で友人と付き合う時間などよりはるかに長い。労働時間減少の原因の大部分は、ゲームの質が若い男性をとりこにするほど高まったことにあり、ゲームが習慣(もしくは依存症)になっている可能性があると報告書は指摘する。

 働かない男性たちを支えるのは家族であり、15年はこうした男性の約70%が親族と同居し、00年の46%から大幅に増えた。若い成人のゲーマーは仮想の世界に没入する時間が長いため、行動を変えることは非常に難しい恐れがあるという。

 00年代は賃金が低迷し、就業率が下がって親や親せきとの同居が増加したにもかかわらず、若い男性の幸福度は上昇した。一方でより年齢の高いの男性は、明らかに就業率の低下とともに幸福度が低下した。

 労働者不足は経済成長の足かせとなるが、ベビーブーマーが引退の時期に入ったことで雇用市場への参入数は長期的な減少傾向にあり、若い男性が自ら働かない決断をすれば問題はより深刻化する恐れがある。

 調査結果について、ミネアポリス地区連銀のニール・カシュカリ総裁は「すべての原因がゲームにあるというのは考えにくい。日本もビデオゲームが盛んだが、こうした影響は出ていない」と話している。