Tuesday, October 17, 2017 10:38 AM
保険引き受け内容の決定にも予想分析
インサーテック(insurtech)という造語が使われるほど、保険(インシュアランス)向け技術(テクノロジー)が進化しているが、商業不動産保険(営利損害保険)に関する実態調査では、予想分析を保険引き受け内容策定に活用している保険会社は今のところ皆無だ。
インフォメーション・マネジメント誌によると、助言サービス会社EYが商業不動産保険会社40社以上を対象に実施した調査では、保険販売や保険金請求処理、保険掛け金の決定、顧客対応業務の一部に自動化技術は活用されているものの、保険引き受け内容の決定自動化はまったくの未開状態であることが分かった。
ただ、同分野で予想分析技術を活用する動きは出ており、これから急速に広まると予想される。
EYの業界専門家はそれについて、現状では、単一のシステム統合に向けた先見の明が欠如しているか、保険引き受け内容の策定に関する管理職の技術思考および指導力の欠落が主因だと指摘する。
保険引き受け内容の策定に予想分析技術を応用するには、分析アルゴリズムの構築のほか、膨大な量のデータを集めて解析できるシステムの設計も必須となる。さらに、被保険者の属性情報や地理的要素も重要な決定要因となる。
それらを単一プラットフォームに統合して、どのような被保険者がどの都市や地域でどのような商業物件をどのように運営しているかを包括的に解析して、どのような条件でいくらの保険料と保険金に設定すれば保険商品として成立するかを予想できるようにする必要がある。
そのためには、機械学習に代表される人工知能技術の活用は不可欠だ。EYの専門家は、同分野で機械学習がほとんど使われていないことはやや驚きだが、これから浸透することは確実だろうと話した。