Tuesday, March 27, 2018 10:00 AM

鉄鋼輸入制限の影響懸念〜農機大手ディアCEO

 農機大手のディア(Deere & Co、イリノイ州)は、トランプ政権が発動した鉄鋼などに高関税を課す輸入制限の世界経済への影響を懸念している。

 23日に発動された輸入制限は、鉄鋼に25%、アルミに10%の関税を課す。中国の供給過剰を受け、他国経由で中国産が流れ込むのを防ぐため、鉄鋼とアルミ製品に一律課税する。報復措置を取る構えを示した欧州連合(EU)や、米国と北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉を実施中のカナダ、メキシコなど7カ国・地域は暫定的に5月1日まで除外した。

 ロイター通信によると、ディアのサミュエル・アレンCEOは、輸入制限によって鉄鋼の価格が30%上昇し、同社は材料を切り替えることになる可能性もあると見ている。このほど開かれたアルゼンチンでのディア製品生産開始60周年を祝う催しで、アレン氏は「鉄鋼業界にはより長期の悪影響が及ぶ恐れがある。政権には関税をかければ多くの意図しない結果が生まれることを考えてほしい」と話した。

 今回の関税は中国の過剰生産への対抗措置だが、EU、カナダ、メキシコといった米国の主要同盟国にも悪い影響を与え、国際的な貿易戦争を引き起こす恐れもある。アレン氏は、輸入品が値上がりするだけでなく、カナダ、メキシコ、中国といった主要貿易相手国がトウモロコシや大豆といった米国産農作物に報復関税をかける可能性もあると見ており「短期の経済的影響は好まないが、より重要なのは長期的な影響で、米国の農家が世界のトウモロコシや大豆市場から締め出される可能性がある」と心配している。

 米国は、世界最大のトウモロコシ輸出国で、大豆の輸出は世界2位。ディアは鉄鋼価格の上昇分を自社で吸収する予定で、影響を補うために他のコスト削減を積極的に進めるという。