Tuesday, July 10, 2018 10:09 AM

無給インターンは時代遅れ〜労働市場ひっ迫で奪い合いに

 失業率が歴史的な低水準を記録する中、エントリーレベルの若い人材を確保するため、かつては無給だったインターン(研修生)に賃金を払う企業が増えている。

 ウォールストリート・ジャーナルによると、インターンシップ(職場研修制度)は 、雇用者は安い労働力が得られ、学生は履歴書の内容を充実させられるため数十年前から続いている。全米大学・雇用者協会(NACE)が2017年、大卒者を対象に行なった調査では、約60%が学生時代にインターンを経験したと答え、07年の約50%から増加していた。また、無給インターンシップは12年には全体の約半分を占めたが、これを頂点に減少に転じ、17年には43%まで低下した。

 18年の春休みに無給インターンシップの提示を断り有給を選択したというミネソタ大学3年生のグレイス・オニールさんは「今は皆、無給のインターンシップはいやだと考えていると思う。時間は貴重で、学生は以前ほどそれを受け入れなくなった」と話している。

 無給インターンシップは、経済的に親に依存しながら夏休みまたは学期中にただ働きできる「特権」を持った学生を企業が利用しているだけだとして広く批判されてきた。学生はインターンシップで単位を取得できるとはいえ、奨学金を受けていない限り単位分の学費は自分または保護者が払っている。

 労働省は18年1月、新しい指針を発表し、合法な無給インターンシップの条件などを明確にした。新指針は、インターンシップはその学生の専攻分野にふさわしい経験を提供し、業務は有給社員の仕事の代わりではなく補助でなければならないと規定している。

 NACEによると、インターンの平均時給は14年は約16ドルだったが、18年は3.7%上昇して18.73ドルになった。企業の雇用担当者によると、労働者の奪い合いが激化して、雇用者は有能なインターンにより高給を支払うか、正規採用の基準緩和を強いられているという。

 人事管理協会(SHRM)のトニー・リー氏は「最優秀のAプレイヤーを獲得する余裕がある企業もおそらくBプレイヤーで満足している。職場の空き1つが4カ月も埋まらないといったことになれば、少し基準を下げざるを得なくなる」と話した。