Friday, September 30, 2016 10:13 AM
ARM、自動運転車向け半導体を開発〜急ブレーキの即応を可能にする処理力
ソフトバンク傘下の省電力型半導体設計最大手の英ARMは、自動運転車のブレーキ・システム向け半導体「ARMコーテックスR52(Cortex-R52)」を開発した。ブレーキのタイミングと精度を改良し、衝突回避や赤信号での急ブレーキに対応する。
従来の自動車では、運転手がブレーキを踏むとマイクロコントローラー・ユニット(MCU)が即応してブレーキがかかる。MCUと検知器を一体化した緊急ブレーキ・システムも多くの車両に搭載されている。
一方、コンピュータによって障害物を認識し、走行とブレーキを制御する自動運転車の場合、プロセッサーによるデータ処理に時間がかかるとその分だけブレーキが遅れ、大事故につながるおそれがある。
PCワールド誌によると、それを避けるためには、カメラやレーダー、ライダー(LIDER=Laser Imaging Detection and Ranging)、GPS、その他の検知器で収集する大量のデータをリアルタイムで処理できる半導体が必要となる。
ティライアス・リサーチ(Tirias Research)によると、将来の自動運転車には、インフォテインメントと指揮および制御系統向けにそれぞれ異なるコンピュータが搭載される。ブレーキ・システムは指揮および制御系コンピュータで管理される。指揮および制御系システムをクラウドに接続し、道路状況データをブレーキ・システムに取り込めば、ブレーキ・システムはより迅速に反応する。
ブレーキは自動運転車にとって最重要機能であり、クラウドのような外部データ源にさらすことで外部からのサイバー攻撃に対して脆弱になり、情報過多に陥る危険もある。
ARMでは、ブレーキ・システムを守る安全措置をコーテックスR52に組み込み、重要なコードを分離する設計を採用して、その課題に対処した。
ARMは、コーテックスR52の設計を半導体メーカーにライセンスする計画。STマイクロエレクトロニクス(STMicroelectronics)が今後の自動車用半導体にコーテックスR52の設計を採用することをすでに決めている。
自動車向け半導体の開発には、インテル(Intel)やルネサス(Renesas)、NXP、フリースケール(Freescale)も注力している。